公募研究
カテプシン群がもたらす中枢神経組織オートファジー・リソソーム分解系のマルチモード
研究代表者谷田 以誠(Isei Tanida) |
研究課題の概要と計画
オートファジー・リソソーム分解系において、“リソソームによる分解”は、どのマルチモードオートファジーにおいても避けられない“分解”を司る必須の過程である。当該研究室はリソソームの主要タンパク質分解酵素、カテプシンD(CtsD), カテプシンB(CtsB), およびカテプシンL(CtsL)について、中枢神経組織における機能について研究している。CtsDは神経セロイドリポフスチン症の原因遺伝子の一つCLN10であり、CtsDノックアウトマウスは神経セロイドリポフスチン症様の表現型を示す。興味深いことにCtsB/ CtsL二重ノックアウトマウスにおいても類似した表現型を示した。そこで我々は“中枢神経組織のオートファジー・リソソーム分解系のカテプシン群が果たす分解機能には、それぞれの脳領域・分化時期についての多様性・マルチモードが存在しているのではないか?”という問いから“中枢神経特異的CtsB/CtsL二重ノックアウトマウスの神経変性を起こす時期、変性する脳領域が全身CtsB/CtsL二重ノックアウトマウスや中枢神経系特異的CtsDノックアウトマウスと比較してどう異なるだろうか?”という点を明らかにしたい。本研究では、中枢神経特異的CtsB/CtsL二重ノックアウトマウス(CtsBflox/flox: CtsLflox/flox: Nestin-Creマウス)を作出し、(1)中枢神経特異的CtsB/CtsL二重ノックアウトマウスの表現型解析、(2)中枢神経特異的CtsB/CtsL二重ノックアウトマウス脳における組織学的解析、(3)中枢神経特異的CtsB/CtsL二重ノックアウトマウス脳における超微形態解析をおこない、中枢神経組織におけるカテプシン群の機能相関・機能領域について明らかにする。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Tanida I, Haruta T, Suga M, Takei S, Takebe A, Furuta Y, Yamaguchi J, Oliva Trejo JA, Kakuta S, Uchiyama Y. Membranous Structures Directly Come in Contact With p62/SQSTM1 Bodies. J. Histochem. Cytochem., 2021, 69, 407-414.
Tanida I, Furuta Y, Yamaguchi J, Kakuta S, Oliva Trejo JA, Uchiyama Y. Two-color in-resin CLEM of Epon-embedded cells using osmium resistant green and red fluorescent proteins. Sci. Rep., 2020, 10, 21871.
Suzuki C,Tanida I, Oliva Trejo JA, Kakuta S, Uchiyama Y. Autophagy Deficiency in Renal Proximal Tubular Cells Leads to an Increase in Cellular Injury and Apoptosis under Normal Fed Conditions Int. J. Mol. Sci., 2019, 21, 155.
キーワード
リソソーム、カテプシン、神経セロイドリポフスチン症、CLN10、αシヌクレイン、タウタンパク質