公募研究
メンブレンコンタクトを介した新規・細胞膜分解制御機構とその生理機能
研究代表者中津 史(Fubito Nakatsu) |
研究課題の概要と計画
細胞膜が正常に機能するためには、細胞膜成分の量や質は厳密に制御されなくてはならない。エンドサイトーシスを介した細胞膜成分の分解は広義のオートファジーとして捉えることができるが、その詳細な制御機構および生理機能については依然不明な点が多い。私たちは、細胞膜やオルガネラ膜の一部が近接して形成されるメンブレンコンタクトの制御と機能について研究を行ってきた。メンブレンコンタクトでは脂質が交換輸送されており、これにより細胞膜やオルガネラにおける脂質の分布や代謝が制御されていることが明らかになってきた。さらに最近の研究から、メンブレンコンタクトにおける脂質交換輸送は、局所的な膜脂質組成の再編成を介して、エンドサイトーシス経路における膜輸送プロセスを制御する役割を担うことも判明した。本研究では、細胞膜成分の分解・分解回避機構について、特にメンブレンコンタクトにおける脂質交換輸送制御に着目して、そのメカニズムと生理的役割の解明を目指す。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Kawasaki, A. Sakai A, Nakanishi H, Hasegawa J, Taguchi T, Sasaki J, Arai H, Sasaki T, Igarashi M, and *Nakatsu F. PI4P/PS countertransport by ORP10 at ER-endosome membrane contact sites regulates endosome fission. J. J. Cell Biol., 2022, 221 e202103141.
Chung J, Torta F, Masai K, Lucast L, Czapla H, Tanner LB, Narayanaswamy P, Wenk MR, *Nakatsu F, *De Camilli P. PI4P/phosphatidylserine countertransport at ORP5 and ORP8-mediated ER-plasma membrane contacts. Science, 2015, 349, 428–32.
Nakatsu F#, Baskin JM#, Chung J, Tanner LB, Lee SY, Pirruccello M, Hao M, Ingolia NT, Wenk MR, *De Camilli P. PtdIns4P synthesis by PI4KIII at the plasma membrane and its impact on plasma membrane identity. J. Cell Biol., 2012, 199, 1003–16.
キーワード
メンブレンコンタクト、イノシトールリン脂質、エンドサイトーシス、脂質交換輸送、オキシステロール結合タンパク質