公募研究
ミクロクロロファジーにおける基質認識・輸送の分子機構
研究代表者中村 咲耶(Sakuya Nakamura) |
研究課題の概要と計画
太陽光を利用した光合成により成長する植物は、過剰な光エネルギーによるダメージに常にさらされています。私たちは、光により損傷したオルガネラが細胞内でどう処理されるのか?に着目し、光合成を担う葉緑体が強いダメージを受けた際に、オートファジーがそれを除去する経路 (クロロファジー) が起こることを発見しました。さらに葉緑体の輸送過程を調査し、このオートファジー経路が、膜障害により膨張した葉緑体を、液胞膜が分解物を直接隔離するミクロオートファジーによって液胞内へ輸送する「選択的ミクロクロロファジー」と呼べる経路であることを見出しました。本研究では、損傷葉緑体を分解対象として認識するためのレセプター因子や、液胞膜、オートファジー膜と相互作用する因子、といったミクロクロロファジー駆動を担う因子群とその具体的な機能の解明に取り組みます。これらの解析から、ミクロクロロファジーの具体的な作動機構を確立し、領域が着目するマルチモードオートファジーの一経路として確立することを目指します。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Nakamura S, Hagihara S, Otomo K, Ishida H, Hidema J, Nemoto T, Izumi M. Autophagy contributes to quality control of leaf mitochondria. Plant Cell Physiol., 2021, 62(2): 229-247.
Kikuchi Y*, Nakamura S*, Woodson JD, Ishida H, Ling Q, Hidema J, Jarvis RP, Hagihara S, Izumi M. Chloroplast autophagy and ubiquitination combine to manage oxidative damage and starvation responses. Plant Physiol., 2020, 183: 1531-1544. (*co-first authors)
Nakamura S, Hidema J, Sakamoto W, Ishida H, Izumi M. Selective elimination of membrane-damaged chloroplasts via microautophagy. Plant Physiol., 2018, 177: 1007-1026.
キーワード
Chlorophagy, Chloroplast, Microautophagy, Photoinhibition, Arabidopsis, Plants