文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

リソソームミクロオートファジーによるエンドソーム分解機構

研究代表者

向井 康治朗(Kojiro Mukai)
東北大学・大学院生命科学研究科 助教
https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/fields/laboratory.html?id=45407

向井 康治朗

研究課題の概要と計画

ミクロオートファジーはリソソーム膜が直接細胞質成分を取り込む機構を指す。酵母においてはペルオキシソーム、脂肪滴、核などがミクロオートファジーを介して分解されることが報告されているが、哺乳動物におけるミクロオートファジーの知見は限られている。これまでに、我々は細胞内物質輸送による自然免疫応答分子STINGの活性制御機構を明らかにしてきたが、その解析の中で、ミクロオートファジーによるSTINGのタンパク質分解がシグナルの収束に必要であることを示唆する予備結果を得た。興味深いことに、この過程はリサイクリングエンドソーム由来の小胞の集まりをリソソームが直接貪食する機構であった。本研究ではSTINGをミクロオートファジーのモデル基質として利用し、遺伝学的スクリーニング、超解像ライブセルイメージング、プロテオミクス解析を駆使することで、リソソームが細胞内の膜構造を認識して分解する分子機構、及びその生物学的意義を明らかにすることを目指す。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Mukai K, Ogawa E, Uematsu R, Kuchitsu Y, Kiku F, Uemura T, Waguri S, Suzuki T, Dohmae N, Arai H, Shum AK, Taguchi T. Homeostatic regulation of STING by retrograde membrane traffic to the ER. Nat. Commun., 2021, 12, 61.

Takahashi K, Niki T, Ogawa E, Fumika K, Nishioka Y, Sawa M, Arai H, Mukai K**, Taguchi T**.(**co-corresponding author) A cell-free assay implicates a role of sphingomyelin and cholesterol in STING phosphorylation. Sci. Rep., 2021, A11, 11996.

Mukai K, Konno H, Akiba T, Uemura T, Waguri S, Kobayashi T, Barber GN, Arai H, Taguchi T. Activation of STING requires palmitoylation at the Golgi. Nat. Commun., 2016, 7, 11932.

キーワード

Microautophagy, Lysosomes, STING pathway, Innate immune signalling