文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

新規修飾RNAメタボライトによるオートファジー経路の解明

研究代表者

小川 亜希子(Akiko Ogawa)
東北大学・加齢医学研究所 助教
https://www.modomics-medicine.com

小川 亜希子

研究課題の概要と計画

近年、核酸の一つであるRNAがオートファジーによる分解の標的となり、細胞のストレス応答と生存に重要であることが明らかになりつつあるが、RNAのオートファジーにおいてRNA修飾の果たす役割については未解明である。RNAの構成成分であるヌクレオシドは幅広い生理活性を示すシグナル因子でもある。これまでの核酸シグナルはアデノシンやATPを中心に長年研究され、受容体とシグナル経路の同定により完成の域に入っているが、RNAに存在する多種多様な化学修飾に関する近年の発見により、概念の再構築が迫られている。我々はこれまで修飾RNAの観点から研究を進めた結果、多彩な化学修飾を含むRNAメタボライトで構成される新しい新しい概念の核酸因子群を発見した。RNAメタボライトは複雑な代謝制御によって構成され、その中間代謝物がRNAのオートファジーを制御している可能性がある。そこで本研究ではこのRNA代謝経路に焦点を当て、個体での生理的意義と病態への寄与を明らかにすることで、RNA修飾という視点からオートファジーにおける物質分解と再利用への包括的な理解に貢献したい。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Ogawa A, Nagiri C, Shihoya W, Inoue A, Kawakami K, Hiratsuka S, Aoki J, Ito Y, Suzuki T, Suzuki T, Inoue T, Nureki O, Tanihara H, Tomizawa T, *Wei FY.N6-methyladenosine (m6A) is an endogenous A3 adenosine receptor ligand. Mol. Cell, 2021, 81: 659-674.

Ogawa A and Wei FY.Protocol for preparation and measurement of intracellular and extracellular modified RNA using liquid chromatography-mass spectrometry. STAR Protoc., 2021, 2: 100848.

Watanabe-Kitamura F, Ogawa A, Fujimoto T, Iraha S, Inoue-Mochita M, Watanabe T, Takahashi E, Tanihara H, *Inoue T.Potential roles of the IL-6 family in conjunctival fibrosis. Exp. Eye Res., 2021, 210: 108708.

キーワード

RNA modification, metabolism, m6A, nucleosides, signaling pathway