文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

マイトファジーの起点となるタンパク質間相互作用の制御機構

研究代表者

岡本 浩二(Okamoto Kouji)
大阪大学・大学院生命機能研究科 准教授
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jpn/general/lab/34/

岡本 浩二

研究課題の概要と計画

余剰または損傷ミトコンドリアの丸ごと分別・除去は生物種を超えて保存された基本的な機構であり、オートファジーの仕組みを利用していることから「マイトファジー」と呼ばれる。マイトファジーはミトコンドリアの量と品質の管理に寄与しており、細胞のエネルギー需給の適切なバランスと恒常性を維持する重要な役割を担っているが、その分子機構と生理機能は未だ多くの謎に包まれている。出芽酵母のマイトファジーにおいて、「分別標識」タンパク質Atg32はミトコンドリア表面に局在し、「足場」タンパク質Atg11に直接結合する。Atg11は、オートファゴソームの形成に必要なコアAtgタンパク質群の集積に働く。すなわち、Atg32-Atg11複合体は、ミトコンドリアを分解基質とするオートファゴソーム形成の起点であると考えられる。私たちの最近の研究から、オートファゴソーム形成の実行因子が、マイトファジーの初期過程においても作用している可能性が提起された。そこで、本研究では出芽酵母をモデルに用いて、『マイトファジーの起点とコアAtgタンパク質の集合体はどのように協調・連携しているのか?』という問について、分子レベルで解を求めてゆく。さらに、他の選択的オートファジー経路についても同様の解析を行い、「分別標識」-「足場」相互作用の制御における普遍性および多様性を理解することを目指す。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Calvelli H, Krigman J, Onishi M, Narendra DP, Sun N, Okamoto K. Detection of mitophagy in mammalian cells, mice, and yeast. Methods Cell Biol. 2020, 155: 557-579.

Okamoto K. Organellophagy: eliminating cellular building blocks via selective autophagy. J. Cell Biol. 2014, 205: 435-445.

Okamoto K, Kondo-Okamoto N, Ohsumi Y. Mitochondria-anchored receptor Atg32 mediates degradation of mitochondria via selective autophagy. Dev. Cell. 2009, 17: 87-97.

キーワード

Mitochondria、Selective macroautophagy、Budding yeast、Atg32、Atg11、Split luciferase complementation、Protein-protein interaction