公募研究
マイトファジー破綻によるミトコンドリア解析とパーキンソン病モデルの樹立
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研究課題の概要と計画
遺伝性パーキンソン病の研究を含めた多くの先行研究が、パーキンソン病に共通した病態の場としてミトコンドリアとの関連性を指摘している。とりわけParkin遺伝子変異⇒マイトファジーの破綻⇒異常ミトコンドリアの蓄積⇒神経変性、の流れが明らかになってきた。だが、ミトコンドリア病態(異常ミトコンドリアの蓄積)に関する知見が集積しつつあるも、いまだ臨床応用には至っていない。その理由として、In vitroのマイトファジー研究が主体であることが挙げられる。本研究ではミトコンドリア可視化マウスを応用し、In vivoでの異常ミトコンドリアの蓄積(ミトコンドリア病態)を検証する。さらに、本研究では1)不良ミトコンドリアを生み出す根本的な原因は何であるのか。2)不良ミトコンドリアの蓄積が神経細胞死の直接の原因になるのかという課題を解決し、パーキンソン病におけるミトコンドリア障害説の解を得る。その際、変異ミトコンドリアDNA(mtDNA)の蓄積がパーキンソン病の内的病因であるとの仮説のもと、変異mtDNAを過剰に蓄積するモデルマウスと、マイトファジー関連パーキンソン病原因遺伝子変異マウス(Parkinノックアウトマウス)を掛け合わせ、マイトファジー破綻下におけるドーパミン神経の選択的な脆弱性を証明することによりパーキンソン病の発症・進行に与える影響を明らかにする。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Noda S, Sato S, Fukuda T, Tada N, Uchiyama Y, Tanaka K, Hattori N. Loss of Parkin contributes to mitochondrial turnover and dopaminergic neuronal loss in aged mice. Neurobiol Dis. 2020, 136:104717.
Noda S, Sato S, Fukuda T, Tada N, Hattori N. Aging-related motor function and dopaminergic neuronal loss in C57BL/6 mice. Mol Brain. 2020, 13:46.
Sato S, Uchihara T, Fukuda T, Noda S, Kondo H, Saiki S, Komatsu M, Uchiyama Y, Tanaka K, Hattori N. Loss of autophagy in dopaminergic neurons causes Lewy pathology and motor dysfunction in aged mice. Sci Rep. 2018, 8:2813.
キーワード
Parkinson’s disease、Parkin、mitochondria、mitophagy、dopamine、neurodegeneration、model mice