文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

分化転換装置としての液胞バイモーダル機能の解明

研究代表者

佐藤 有紀(Sato Yuki)
九州大学・大学院医学研究院 准教授
http://www.lab.med.kyushu-u.ac.jp/anat1/

佐藤 有紀

研究課題の概要と計画

造血細胞は、胚発生期に背側大動脈の血管内皮細胞が分化転換することにより生みだされる。内皮-造血転換は、循環器システムの両輪をなす血管内皮細胞と造血幹細胞の分岐点であるため、非常に重要な現象であるが、扁平な血管内皮細胞から球形の造血細胞への形態変化を制御する細胞生物学的メカニズムは不明である。分化転換中の血管内皮細胞は、内部に巨大な液胞構造を有する。この巨大液胞は、①液胞内への水移動による血管内皮細胞の球状化と、②造血細胞への分化転換に伴うオートファジーの二局面で働く可能性がある。本研究では巨大液胞が分解機構としてマクロオートファジーに関わるかどうかを検証する。また、巨大液胞の拡張がストレス要因となり、マクロオートファジー以外の自食作用を誘導するかどうかについても解析を行う。本研究で解明を試みる造血性血管内皮細胞の巨大液胞機能を通じて、新たなオートファジー誘導機構、液胞の機能・形態変化メカニズム、臓器特異的なオートファジー制御機構を詳細にする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

*Sato Y, Nagatoshi K, Hamano A, Imamura Y, Huss D, Uchida T, Lansford R. Basal filopodia and vascular mechanical stress organize fibronectin into pillars bridging the mesoderm-endoderm gap. Development 2017, 144, p281-291

*Sato Y. Dorsal aorta formation: Separate origins, lateral-to-medial migration, and remodeling. Development, Growth and Differentiation 2013, 55, p113-129

Sato Y, Poynter G, Huss D, Filla M.B, Czirok A, Rongish B, Little C.D, Fraser S.E, *Lansford R. Dynamic analysis of vascular morphogenesis using transgenic quail embryos. PLoS ONE 2010, 5, e12674

キーワード

Endothelial to hematopoietic transition, Vacuole, Aquaporin, Transgenic quail embryo, Time-lapse imaging analysis