文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

オルタナティブ・オートファジーの生理機能解析と通常型との機能分担についての解明

研究代表者

荒川 聡子(Satoko Arakawa)
東京医科歯科大学・難治疾患研究所 准教授
http://www.tmd.ac.jp/mri/pcb/index.html

荒川 聡子

研究課題の概要と計画

オートファジーは細胞内の自己構成成分を分解するシステムである。我々は、これまでオートファジーに必須と考えられてきたAtg5やAtg7に依存しない新規のマクロオートファジーを発見し、オルタナティブ・マクロオートファジー(以下、新規オートファジー)と命名した(nature 2009)。Atg5依存的オートファジーと新規オートファジーは、膜の由来が異なっているほか、分解する基質が異なっており、これにより生体での役割も異なっている。これまでの研究で、新規オートファジー関連分子を複数同定し、その生理的役割も見出しつつあるが、全体像の解明には至っていない。また、Atg5依存的オートファジーと、どのように使い分けられているかも明らかではない。そこで本研究では、❶新規オートファジー実行機構の全容解明、❷新規オートファジーの生理機能の解明、❸Atg5依存的オートファジーと新規オートファジーの使い分けの実態解明を行い、生体におけるマクロオートファジーの全貌を明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Nishida Y*, Arakawa S*(equally contribution), Fujitani K, Yamaguchi H, Mizuta T, Kanaseki T, Komatsu M, Otsu K, Tsujimoto Y, Shimizu S. Discovery of Atg5/Atg7-independent alternative macroautophagy. Nature, 2009, 461(7264): 654-658

Honda S, Arakawa S, Nishida Y, Yamaguchi H, Ishii E, and Shimizu S. Ulk1-mediated Atg5-independent macroautophagy mediates elimination of mitochondria from embryonic reticulocytes, Nature Commun, 2014, 5:4004

Yamaguchi H, Arakawa S*(equally contribution), Kanaseki T, Miyatsuka T, Fujitani Y, Watada H, Tsujimoto Y, Shimizu S. Golgi membrane-associated degradation pathway in yeast and mammals. EMBO J, 2016, 35(18):1991-2007

キーワード

Alternative autophagy, Golgi, Mitophagy, Neurodegenerative disease