公募研究
ミクロリポファジーの脂肪滴・液胞膜接着機構と生理的意義の研究
研究代表者辻 琢磨(Tsuji Takuma) |
研究課題の概要と計画
静止期に入った出芽酵母の液胞膜にはステロールの豊富なラフト様ドメインが形成され、脂肪滴は液胞膜ドメインとタイトに接着し、選択的ミクロオートファジー(ミクロリポファジー)により液胞内に取り込まれる。密な接着を成すためには脂肪滴・液胞膜間での分子間相互作用が予想されるが、詳しい機構はわかっていない。一方で私達は、静止期脂肪滴にユビキチン化タンパク質が搭載されていることを見出した。この結果は、静止期リポファジーが脂肪滴を介した不要タンパク質分解機構であることを示唆している。本研究では、分子細胞生物学的手法と凍結割断レプリカ電顕法を組み合わせ、脂肪滴・液胞膜接着に必要な脂肪滴側因子と液胞膜側因子を同定し、ミクロリポファジーの分子機構を明らかにすることを目的とする。また静止期に脂肪滴に搭載され液胞内で分解されるタンパク質を探索し、脂肪滴への搭載機構、そして静止期ミクロリポファジーの生理的意義の解明を目指す。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Tsuji T, Cheng J, Tatematsu T, Ebata A, Kamikawa H, Fujita A, Gyobu S, Segawa K, Arai H, Taguchi T, Nagata S, Fujimoto T. Predominant localization of phosphatidylserine at the cytoplasmic leaflet of the ER, and its TMEM16K-dependent redistribution. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2019, 116, 13368-73.
Tsuji T#, Takatori S#(co-first author), Fujimoto T. Definition of phosphoinositide distribution in the nanoscale. Curr. Opin. Cell Biol. 2019, 57, 33-9.
Tsuji T, Fujimoto M, Tatematsu T, Cheng J, Orii M, Takatori S, Fujimoto T. Niemann-Pick type C proteins promote microautophagy by expanding raft-like membrane domains in the yeast vacuole. eLife 2017, 6, e25960.
キーワード
Lipophagy、Lipid droplet、Vacuole、Microautophagy、Electron microscopy、Freeze-fracture