公募研究
損傷葉緑体を除去するミクロオートファジーの作動機構
研究代表者中村 咲耶(Nakamura Sakuya) |
研究課題の概要と計画
植物細胞内で光合成を担うオルガネラである葉緑体は、太陽光によるダメージを常に受けています。私たちは、損傷した葉緑体はどう処理されるのか?に着目し、葉緑体を丸ごと分解するオートファジー「クロロファジー」が働くことを発見しました。さらにこの経路は、液胞膜が葉緑体の隔離に関わるミクロオートファジーを介する「ミクロクロロファジー」であることを明らかにしました。本研究では、ミクロクロロファジーの作動機構を詳細に明らかにすることを目的とし、損傷葉緑体を液胞内へと輸送する過程 (生体膜ダイナミクスのイメージング解析)、および必要な遺伝子機能 (既知のオートファジー機能関連遺伝子の必須性、葉緑体の認識や輸送に関わる遺伝子の探索)、の解明に取り組みます。これらの解析から、ミクロクロロファジーの具体的な作動機構を確立し、領域が着目するマルチモードオートファジーの一経路として確立することを目指します。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Nakamura S, Hidema J, Sakamoto W, Ishida H, Izumi M. Selective elimination of membrane-damaged chloroplasts via microautophagy. Plant Physiol. 2018, 177: 1007-1026.
Nakamura S, Izumi M. Regulation of chlorophagy during photoinhibition and senescence: lessons from mitophagy. Plant Cell Physiol. 2018, 59:1135-1143.
Izumi M, Ishida H, Nakamura S, Hidema J. Entire photodamaged chloroplasts are transported to the central vacuole by autophagy. Plant Cell. 2017, 29: 377-394.
キーワード
Chlorophagy、Chloroplast、Microautophagy、Photoinhibition、Arabidopsis、Plants