文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

破骨細胞・マクロファージにおけるミクロオートファジー現象の探求

研究代表者

野田 健司(Noda Takeshi)
大阪大学・大学院歯学研究科 教授
http://web.dent.osaka-u.ac.jp/~cfos/index.html

野田 健司

研究課題の概要と計画

リソソーム等の膜構造が陥入することにより分解基質を取り込む現象、ミクロオートファジーは、その分子機構や、生理学的な意義を含めた理解は今まさに切望されている段階である。私達は歯学部着任時に、歯周病を引き起こす破骨細胞の過活動に関わる分子機構の理解を目指す研究を立ち上げ、小胞輸送を担う低分子量GTPaseである40種以上のRabのうち、破骨細胞分化誘導依存的にRab38発現が著明に誘導されることを見出し、そのパラログRab32とともにその機能に着目して解析を開始した。その結果、マクロファージや破骨細胞においてRab32/38陽性のリソソーム様の新規オルガネラ(LRO)が存在することを発見した。さらにその中にミトコンドリアや初期エンドソームがそのままの形でミクロオートファジーによりに取り込まれ、分解された。そこで本研究では、今回見出したミクロオートファジーの分子機構及び生理的意義の解明を目的とした研究を行う。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Ukai H, Araki Y, Kira S, Oikawa Y, May AI, and Noda T*. Gtr/Ego-independent TORC1 activation is achieved through a glutamine-sensitive interaction with Pib2 on the vacuolar membrane. PLoS Genet. 2018, 14:e1007334–25.

Ikari S, Lu SL, Hao F, Imai K, Araki Y, Yamamoto YH, Tsai CY, Nishiyama Y, Shitan N, Yoshimori T, Otomo T, and Noda T*. Starvation-induced autophagy via calcium-dependent TFEB dephosphorylation is suppressed by Shigyakusan. PLoS ONE. 2020, 15:e0230156–22.

Yamamoto YH, Kasai A, Omori H, Takino T, Sugihara M, Umemoto T, Hamasaki M, Hatta T, Natsume T, Morimoto RI, Arai R, Waguri S, Sato M, Sato K, Bar-Nun S, Yoshimori T, Noda T, and Nagata K. ERdj8 governs the size of autophagosomes during the formation process. J Cell Biol. 2020, 219.

キーワード

Microautophagy, Osteoclast, Macrophage, Rab, Mitochondria, Endosome, Lysosome related Organelle (LRO)