公募研究
選択的オートファジーの誘導と認識の分子メカニズムの解明
研究代表者濱崎 万穂(Hamasaki Maho) |
研究課題の概要と計画
飢餓によるオートオートファジーとは違い、損傷を受けたオルガネラの除去や凝集塊など、細胞にとって不要なものをクリーニングする新たなオートファジーの機能がわかり、分解ターゲットが選択的であることから“選択的オートファジー”と呼ばれるようになった。選択的オートファジーは、ユビキチン化がオートファジー誘導シグナルとして働いているという証拠が集まり、ユビキチン-プロテアソーム系とオートファジーという2大タンパク質分解系の接点として注目されている。本研究では、世界に先駆けて発見した選択的オートファジーに着目し、選択性がどのように制御されるかの認識機構と、疾患と関わりの深い選択的オートファジーがどのように誘導されるかを多面的に解析することを目的としている。損傷の認識機構は正常なものを分解しないために、非常に重要な分子機構である。本研究の計画は、既に行ったスクリーニングから得られた候補因子らの2次、3次スクリーニングを行い候補因子を絞ること、また候補因子らがどのようにターゲットを認識するのかの分子機構の解明を行う予定である。損傷の認識機構の解明やユビキチン化がオートファジー誘導シグナルとして働くメカニズムの全容が解明されれば、学術的に重要なだけでなく、様々なオートファジー関連疾患に対する予防・治療のターゲットになる可能性があり、臨床医学の観点からも重要であると考えている。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Maejima I, Takahashi A, Omori H, Kimura T, Takabatake Y, Saitoh T, Yamamoto A, Hamasaki M, Noda T, Isaka Y, Yoshimori T. Autophagy sequesters damaged lysosomes to control lysosomal biogenesis and kidney injury. EMBO J. 2013, Aug 28;32(17):2336-47.
Lu SL, Kawabata T, Cheng YL, Omori H, Hamasaki M, Kusaba T, Iwamoto R, Arimoto H, Noda T, Lin YS, Yoshimori T. Endothelial cells are intrinsically defective in xenophagy of Streptococcus pyogenes. PLoS Pathog. 2017, Jul 6;13(7):e1006444.
Yoshida Y, Yasuda S, Fujita T, Hamasaki M, Murakami A, Kawawaki J, Iwai K, Saeki Y, Yoshimori T, Matsuda N, Tanaka K. Ubiquitination of exposed glycoproteins by SCFFBXO27 directs damaged lysosomes for autophagy. Proc Natl Acad Sci USA. 2017, Aug 8;114(32):8574-8579.
キーワード
Selective autophagy, recognition, ubiquitin, degradation