公募研究
p62/SQSTM1リン酸化促進剤によるアグリファジー制御の新規経路
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研究課題の概要と計画
選択的オートファジーによる分解は、細胞内のプロテオスタシスの維持に重要な役割を果たしている。タンパク質凝集体の選択的オートファジーによる分解(アグリファジー)では、基質となるユビキチン化タンパク質がプロテアソームの基質と競合するため高度に制御されているが、その詳細な分子機構についてはあまり理解されていない。我々はこれまでに、アグリファジーにおける代表的なオートファジーレセプターであるp62/SQSTM1のS403リン酸化促進化合物として脂肪酸とカテコールが結合したアシルドーパミンを同定した。このことは、脂肪酸誘導体をメッセンジャーとするアグリファジーの制御というこれまで考えられていなかった分子機構の存在を示唆している。本研究では、我々がこれまでに同定した新規アグリファジー促進化合物のターゲット分子の同定と作用機序解析などから、プロテオスタシスの維持に関わるオートファジーの制御機構を明らかにし、神経変性疾患の治療薬開発へとつなげていく。
本研究課題に関連する代表的論文3報
Matsumoto G, Inobe T, Amano T, Murai K, Nukina N, and Mor, N. N-Acyldopamine induces aggresome formation without proteasome inhibition and enhances protein aggregation via p62/SQSTM1 expression. Sci Rep. 2018, 8, 9585.
Matsumoto G, Shimogori T, Hattori N, and Nukina N. TBK1 controls autophagic engulfment of Parkin-recruited depolarized mitochondria through p62 phosphorylation. Hum Mol Genet 2015, 24, 4429–4442
Matsumoto G, Wada K, Okuno M, Kurosawa M, and Nukina N. Serine 403 phosphorylation of p62 regulates selective autophagic clearance of ubiquitinated protein. Mol. Cell 2011, 44, 279-289.
キーワード
アグリファジー, p62/SQSTM1, タンパク質リン酸化, 神経変性疾患, タンパク質凝集, 脂肪酸