文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 令和元年~5年度(2019年~2023年度) マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解

哺乳動物多胞体形成とミクロオートファジーに関与するESCRT因子の同定

研究代表者

森田 英嗣(Morirta Eiji)
弘前大学・農学生命科学部 准教授
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/lab/moritalab/index.html

森田 英嗣

研究課題の概要と計画

ミクロオートファジーはESCRT (endosomal sorting complex required for transport complex) 因子によって制御されている。しかしながら、哺乳動物の場合ESCRT因子は30種類以上に及び、それらが全てこの経路に機能しているわけではない。また、標的積み荷因子の種類によってESCRT因子が使い分けられている可能性も示唆されているがその詳細は不明である。本研究では、全てのESCRT因子に対して個別にあるいは数種類の組み合わせによるノックダウンを行い、種々の積み荷因子の多胞体 (MVB) 内腔小胞 (ILV) への取り込みやリソソームへの輸送に与える影響について調べ、ミクロオートファジーに必要なESCRT因子を同定する。また、各種ESCRT因子変異体の入れ戻し実験を行い、ミクロオートファジーに必要なESCRT-ESCRT相互作用を明らかにする。さらに、様々な積み荷因子についてILVソーティングシグナルの検索を行い、ILVへの取り込みに鍵となるESCRT因子同士の相互作用を明らかにし、各種積み荷因子のILVへ取り込まれる効率と分解の生理学的意義を明らかにする。また、マクロオートファジーにおける隔離膜のシーリングに作用するESCRT因子も同定し、ミクロ-マクロ両オートファジーを介した分解機構違いとESCRT経路の進化史を明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

Tabata K, Arimoto M, Arakawa M, Nara A, Saito K, Omori H, Arai A, Ishikawa T, Konishi E, Suzuki R, Matsuura Y, and Morita E. Unique Requirement for ESCRT Factors in Flavivirus Particle Formation on the Endoplasmic Reticulum. Cell Reports. 2016, 16(9):2339-2347

Morita E, Sandrin V, McCullough J, Katsuyama A, Hamilton IB, Sundquist WI. ESCRT-III protein requirements for HIV-1 budding. Cell Host Microbe 2011, 3:235-42.

Morita E, Sandrin V, Chung HY, Morham SG, Gygi SP, Rodesch CK. and Sundquist WI. Human ESCRT and ALIX Proteins Interact with Proteins of the Midbody and Function in Cytokinesis. EMBO J. 2007, 26(19):4215-27.

キーワード

endosomal sorting complex required for transport complex (ESCRT), multivesicular bodies (MVB), intraluminal vesicles (ILV), microautophagy, membrane protein degradation