PubMedID 28264932
タイトル Zinc starvation induces autophagy in yeast.
ジャーナル J Biol Chem, 2017 Mar 06; [Epub ahead of print]
著者 Kawamata T, Horie T, Matsunami M, Sasaki M, Ohsumi Y
  • 亜鉛飢餓により誘導されるオートファジー
  • Posted by 東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 川俣 朋子
  • 投稿日 2017/05/09

我々は現在、酵母においてオートファジーの生理的意義を明らかにするために様々な角度から解析を行っています。今回、細胞内の亜鉛と鉄のリサイクルに関してJBCにBack-to-backで掲載されることになりましたので、ここでご紹介させていただきます。 

今回私達は、酵母でオートファジー誘導条件を探索したところ、亜鉛の欠乏で非特異的なオートファジーが誘導されることを見つけました。亜鉛飢餓によるオートファジーは、細胞内の亜鉛量がギリギリまで低下したときに初めて起こるようで、オートファジーが誘導されるまでにタイムラグがあることがわかりました。亜鉛は、そのほとんどが細胞内のタンパク質に結合した形で存在します。オートファジーの結果、タンパク質分解によりリリースされた亜鉛がリサイクルされると考えています。WTとオートファジー欠損株では亜鉛飢餓時の増殖に差があり、オートファジー欠損株では低下することがわかりました。この論文では、亜鉛飢餓で起こるオートファジーにTORC1が関与していることを明らかにしていますが、なぜ亜鉛飢餓でTORC1が不活性化するのかについては明らかにすることができませんでした。TORC1関連のシグナルタンパク質の活性が亜鉛で制御されているのかもしれませんし、亜鉛飢餓により細胞内の代謝が変化し、それがTORC1に伝わっている可能性もあります。 
この論文は、JBCのEditors’ Picksに選ばれました。また、ASBMB TODAYでもインタビュー記事(?)が掲載される予定です。