PubMedID 28628083
タイトル Molecular basis of selective mitochondrial fusion by heterotypic action between OPA1 and cardiolipin.
ジャーナル Nat Cell Biol, 2017 Jul;19(7);856-863,
著者 Ban T, Ishihara T, Kohno H, Saita S, Ichimura A, Maenaka K, Oka T, Mihara K, Ishihara N
  • OPA1によるミトコンドリアの活性に依存した融合の分子詳細
  • Posted by 久留米大学 分子生命科学研究所 石原直忠
  • 投稿日 2017/06/30

 最近報告した私達の論文を紹介します。

 私達のこれまでの研究から、膜電位を消失したミトコンドリアでは、内膜の融合に関わるGTPaseタンパク質OPA1がタンパク質分解を受けることで、融合活性を失うことを明らかにしていました。この知見を基にして、失活したミトコンドリアは活性を持つミトコンドリアネットワークから排除され、将来的にオートファジー分解に導かれると考えられるようになりました。しかし、これまでOPA1による膜融合反応の詳細は理解されていませんでした。

 今回、カイコの幼虫の発現系を用いることで、膜結合型のL-OPA1を大量に発現・精製できるようになりました。このタンパク質を内膜を模した脂質膜に再構成して、試験管中で融合反応を観察したところ、(1)一方の膜にさえL-OPA1があれば融合できること(2)ミトコンドリアに独特なリン脂質であるカルジオリピンがL-OPA1のパートナーとして機能すること、などが明らかになりました。

 これまでに知られていた小胞輸送における膜融合では、両方の膜に融合を促進するSNAREタンパク質が必要で、それらが融合前に結合することが良く知られています。しかし、ミトコンドリア内膜では一方向性の膜融合がおきていることがわかりました。

 また、障害を受けたミトコンドリアの選択的な排除には、OPA1の機能失活に加えて、カルジオリピンを含む膜脂質の変動が起きることが強く示唆されました。現在は、細胞内でカルジオリピンを検出・可視化する良い方法はまだ構築されていないためその挙動の詳細は不明です。今後はミトコンドリアの品質管理の視点から、カルジオリピンの動的変化の分子知見を集める必要があると考えています。