PubMedID | 29698392 |
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タイトル | Gtr/Ego-independent TORC1 activation is achieved through a glutamine-sensitive interaction with Pib2 on the vacuolar membrane. |
ジャーナル | PLoS Genet, 2018 Apr;14(4);e1007334, |
著者 | Ukai H, Araki Y, Kira S, Oikawa Y, May AI, Noda T |
- Gtr/Ego非依存的Pib2経路によるオートファジー制御
- Posted by 大阪大学生命機能研究科(歯学研究科) 鵜飼洋史
- 投稿日 2018/05/21
野田研究室ではオートファジー制御機構の一連の研究の中で、当時ほぼ研究がされていなかったPib2がTORC1に関係することに気づき研究を進めてきました。今回は、Pib2が関与する経路がオートファジー活性制御に中心的な役割を担うTORC1の制御を担っていることを報告しましたので紹介致します。
TORC1のキナーゼ活性制御には、出芽酵母ではGtr/Egoが、哺乳類ではそのホモログRag/Ragulatorが関与します。これまで哺乳細胞においてRag/Ragulatorの上流においてロイシンやアルギニン、メチオニンの誘導体がセンサーによって感知されることがSabatiniによって報告されています。しかしながら、アミノ酸感知においてRag/Ragulator以外の経路が存在するのか、そのほかのアミノ酸も同じように感知されているのか、といったことはわかっていませんでした。
本報告では、Pib2とGtr/Egoがそれぞれ独立してTORC1と複合体を形成すること、Pib2とGtr/Ego経路を同時に欠損させるとTORC1活性が無くなりTORC1の液胞膜局在が細胞質中へと分散することを見出しました。さらには、Pib2経路はグルタミンに特異的に応答しTORC1を活性化すること、グルタミン濃度依存的にPib2とTORC1の相互作用が増強されることがわかりました。最後に、Pib2がグルタミンのセンサーであるかどうかを放射線標識したグルタミンで検討しました。その結果、Pib2単体とグルタミンの結合はみられませんでしたが、酵母抽出液と反応させたPib2がグルタミンと結合することを見出しました。
このことは、これまで、Gtr/Ego経路の上流のみで報告されていたアミノ酸センサーが、それとは独立するPib2経路でグルタミンが感知されていることを示唆するものであると考えています。今後は、Pib2複合体の解明を進め、グルタミンセンサーの実態に迫るとともにオートファジー制御のさらなる理解を目指したいです。