PubMedID | 33536246 |
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タイトル | Vacuolar protein Tag1 and Atg1-Atg13 regulate autophagy termination during persistent starvation in yeast. |
ジャーナル | Journal of cell science 2021 Feb;. |
著者 | Kira S, Noguchi M, Araki Y, Oikawa Y, Yoshimori T, Miyahara A, Noda T |
- 出芽酵母の長期飢餓時のオートファジー停止機構
- Posted by 大阪大学歯学研究科 吉良新太郎
- 投稿日 2021/02/09
最近Publishされた私たちの論文をご報告いたします。
出芽酵母で、長期飢餓時にオートファジーが停止することを見つけましたので、その現象に関与する因子を探索しました。その結果未解析の因子を同定できましたので、TAG1(Termination of AutophaGy)と名前をつけて解析を行いました。
Atg13は長期の飢餓で再リン酸化が起こることが知られています。TAG1ノックアウト細胞では、Atg13のS379残基の再リン酸化が低下していました。Atg13-S379はPAS形成に関与するため、続いてPASの観察を行いました。野生株では、長期の飢餓でPASの輝点は消失しました。この結果はオートファジーの停止とよく相関しています。一方TAG1ノックアウト細胞では、長期の飢餓でもPASは残り続けました。これらのことから、Tag1はAtg13の再リン酸化を制御することで、オートファジー停止に関与していると考えました。
Atg13の再リン酸化は、Atg1によって制御されていました。また、PP2Cホスファターゼのノックアウト細胞(※)では、Atg13の再リン酸化が2時間程度の短期の飢餓で生じました。Atg13の飢餓時のリン酸化状態は、Atg1キナーゼとPP2Cホスファターゼのバランスによって成り立つようです。次にTag1がAtg1あるいはPP2Cの活性を調節している可能性を検討しましたが、いまのところポジティブな結果が得られておりません。
哺乳類細胞における長期飢餓のオートファジー停止メカニズムとして、mTORC1の再活性化やATGタンパク質の分解が提唱されていました。出芽酵母でもTORC1の再活性化は生じますが、TORC1活性を抑えてもオートファジーは停止しました。またATGタンパクの発現量は観察した限りにおいて低下しなかったことから、出芽酵母では哺乳類細胞で提唱されているものとは異なった機構でオートファジーが停止しているようです。
(※)出芽酵母ではPP2Cは7つの遺伝子にコードされており、うち4つが細胞質に局在します。ここではこれらPTC1-4をノックアウトした細胞を用いました。