PubMedID 25052093
タイトル Ultrastructural analysis of autophagosome organization using mammalian autophagy-deficient cells.
ジャーナル J Cell Sci, 2014 Jul 22; [Epub ahead of print]
著者 Kishi-Itakura C, Koyama-Honda I, Itakura E, Mizushima N
  • ATG欠損細胞を用いたオートファゴソーム形成過程の微細形態解析
  • Posted by CIMR University of Cambridge  岸 千絵子
  • 投稿日 2014/07/29

 これまで、酵母や動物細胞でのATGタンパク質の遺伝学的ヒエラルキーや時空間的相互作用の解析が多くなされてきました。今回の研究では、これらのATGタンパク質やその複合体がオートファゴソーム形成過程の膜動態においてどのような役割をもっているかを、透過型電子顕微鏡法で解析することで、ATGヒエラルキーとオートファゴソーム膜形成段階の対応に成功しました。その結果、
・FIP200 (ULK複合体)、ATG9A、PI3K活性(Vps34複合体)は隔離膜の出現に必須である
・VMP1とATG2(ATG2-WIPI複合体)は隔離膜の伸長に重要である(ATG2の方がやや後期の可能性)
・ATG5(ATG12-ATG5-ATG16L1複合体)は隔離膜の閉鎖、あるいは後期ステップの過程で重要である
ことがわかりました。これらの結果を元に、今後、オートファゴソーム膜形成における各ATGタンパク質のより詳細な役割の解明が期待されます。
 また、上流ATG因子の欠損細胞では、小胞体膜に近接したオートファゴソーム形成部位にp62/SQSTM1などとともにフェリチンのクラスターが蓄積していることも発見しました。このことは、フェリチンが恒常的オートファジーの基質であることを示しています。また、オートファジーが鉄代謝に関わりうることは、WIPI4遺伝子変異をもつ脳内鉄沈着を特徴とするSENDA病の病態形成との関連を示唆します。透過電子顕微鏡解析で、フェリチンはribosomeよりも電子密度が高く、通常電子顕微鏡解析で目立ち、発見できたのがラッキーでした。