PubMedID 26146385
タイトル Bcl-2-like protein 13 is a mammalian Atg32 homologue that mediates mitophagy and mitochondrial fragmentation.
ジャーナル Nat Commun, 2015;7527,
著者 Murakawa T, Yamaguchi O, Hashimoto A, Hikoso S, Takeda T, Oka T, Yasui H, Ueda H, Akazawa Y, Nakayama H, Taneike M, Misaka T, Omiya S, Shah AM, Yamamoto A, Nishida K, Ohsumi Y, Okamoto K, Sakata Y, Otsu K
  • Atg32の哺乳動物細胞におけるホモログ
  • Posted by キングスカレッジロンドン医学部 大津 欣也
  • 投稿日 2015/07/29

最近公表された論文を紹介させていただきます。この研究は阪大循環器内科の大学院生村川智一が中心となり行ったものです。本論文ではAtg32の哺乳動物細胞ホモログを同定しました。酵母においてAtg32がマイトファジーに必須のレセプター分子として同定されており、哺乳動物細胞においてはParkinが関与するマイトファジーが詳しく研究されています。しかし、Parkinを発現しない細胞でもマイトファジーが誘導されることから、他の分子機構の存在が示唆されます。これまでAtg32の哺乳動物細胞におけるホモログは報告されていません。哺乳動物細胞におけるマイトファジーレセプターがAtg32と共通の分子的特徴(?ミトコンドリアへの局在 ?WXXL/I (LC3-interacting region (LIR))を有する ?1回膜貫通蛋白 ?酸性アミノ酸のクラスター配列を有する)を有していると仮定し、たんぱく質データベースを解析しBcl2 like protein 13 (Bcl2-L-13、別名Bcl-rambo)を候補分子として同定しました。HEK293細胞におけるBcl2-L-13過剰発現により、Drp1やParkin非依存性にミトコンドリア分裂とマイトファジーが誘導されました。ミトコンドリア分裂誘導には、4か所のBH domainが、マイトファジーにはLIRが必要です。CCCP誘導性のミトコンドリア分裂及びマイトファジーには内因性Bcl2-L-13が必須でした。タンパク質発現量の増加及びリン酸化がBcl2-L-13の活性化機構であることが示唆されました。驚くべきことにAtg32欠損酵母株においてもBcl2-L-13によってマイトファジーが誘導され、Atg32の機能的ホモログであることが示されました。今まで哺乳類におけるマイトファジー研究はParkinばかり注目されていましたがこれからの発展が楽しみです。