PubMedID 26682926
タイトル Cathepsin D in pancreatic acinar cells is implicated in cathepsin B and L degradation, but not in autophagic activity.
ジャーナル Biochem Biophys Res Commun, 2015 Dec 9; [Epub ahead of print]
著者 Mehanna S, Suzuki C, Shibata M, Sunabori T, Imanaka T, Araki K, Yamamura KI, Uchiyama Y, Ohmuraya M
  • 膵腺房細胞におけるカテプシンDの役割について
  • Posted by 熊本大学生命資源研究・支援センター 大村谷昌樹
  • 投稿日 2015/12/25

膵臓特異的カテプシンD欠損マウスの論文がBBRCに受理されましたので、ご報告いたします。尚、コンディショナルカテプシンD欠損マウスは順天堂大学内山先生が樹立されたものです。カテプシンDはアスパラギン酸プロテアーゼに属する酵素で、全身ノックアウトマウスは出生後3週齢で死亡することはすでに知られています。中枢神経系でカテプシンDを欠損すると、激しい表現型が見られることは、すでに内山先生、小池先生らが報告されています。今回我々は、膵臓の外分泌を司る膵腺房細胞でカテプシンDを欠損しましたが、(神経細胞とは異なり)あまり表現型がでません。ただし、LC3-IIと、システインプロテアーゼのカテプシンB、Lの蓄積が見られました。
 また、急性膵炎刺激を加えると、カテプシンB、Lの欠損マウスは、膵内トリプシン活性が前者では低下、後者では亢進しますが、カテプシンD欠損マウスでは、コントロールマウスと変わらず、つまり、トリプシノーゲンからトリプシンへの活性化にカテプシンDは関与していない、という結果になりました。膵炎の重症度にも差がなく、カテプシン群は巧妙に制御されていると感じています。