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原腸形成過程においてWntシグナルが制御する新規ユビキチン化・分解経路

写真:木下典行

基礎生物学研究所
形態形成研究部門 准教授
木下 典行

アフリカツメガエル胚の原腸形成は、体作りの基本となる三胚葉の層構造を作るための重要な形態形成運動である。その制御には、細胞極性やそれに基づく細胞形態、運動の制御が大切なはずだが、その分子機構はまだわかっていないことが多い。最近私達は、その制御機構の中でユビキチン―プロテアソーム系によるタンパク質分解が大切な役割を果たしていることを見いだした。現在までにわかっている分解の標的は接着斑の構成因子パキシリンで、細胞外分泌因子Wntからのシグナルによりユビキチン化が促進される。それにより細胞運動が活性化され、組織全体の運動がおこると考えられる。本研究ではアフリカツメガエルの胚を用いて、形態形成運動やそれを制御するシグナルの伝達機構とタンパク質ユビキチン化・分解との関わりを解析していく計画である。特にWntシグナルによるユビキチン化の制御機構について、その過程に関わる分子を同定し、それらの分子がWntシグナルによってどのように活性制御されているかを明らかにしたい。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Iioka H, Iemura S, Natsume T, Kinoshita N.
  2. Wnt signalling regulates paxillin ubiquitination essential for mesodermal cell motility. Nat Cell Biol. 9:813-821 (2007).
  3. Lee RH, Iioka H, Ohashi M, Iemura S, Natsume T, Kinoshita N. XRab40 and XCullin5 form a ubiquitin ligase complex essential for the noncanonical Wnt pathway. EMBO J. 26:3592-3606 (2007).
  4. Iioka H, Ueno N, and Kinoshita N. Essential role of MARCKS in cortical actin dynamics during gastrulation movements. J Cell Biol. 164:169-174 (2004).

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