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DNA複製と連係したタンパク質分解機構の解明(p21Cip1を中心に)

写真:西谷秀男

兵庫県立大学 大学院生命理学研究科
生体情報II 教授
西谷 秀男

細胞周期の進行において、適時なタンパク質の合成と分解が重要な役割を果たしている。p21Cip1は、細胞周期の進行を担うCDKの活性を抑制するインヒビターの一つで、細胞増殖の停止、分化や老化に関わっており、がん抑制因子として捉えられている。p21Cip1タンパク質は、G0-G1期に存在するがS期では分解される。これまでの報告から、p21Cip1は多様な方法により分解される事が示唆されているが、明確な見解が得られていない。我々は、p21Cip1がPCNA結合タンパク質であることに注目し、PCNAの発現をサイレンス化すると、UV照射後やS期においてp21Cip1の分解が抑制される事を見出した。PCNAはDNA合成酵素の補助因子としてDNAの複製に関わる。これらの結果をもとに本研究では、p21Cip1が複製にカップルして分解される機構を明らかにする。そのため、PCNA結合部位に変異を導入した場合、Cul4-DDB-Cdt2の各コンポーネントをサイレンスした場合、p21Cip1の安定性を調べる。さらに、in vitro ユビキチン化系を確立することにより、PCNAとの結合に依存的した基質認識機構を明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Nishitani H, Sugimoto N, Roukos V, Nakanishi Y, Saijo M, Obuse C, Tsurimoto T, Nakayama KI, Nakayama K, Fujita M, Lygerou Z, Nishimoto T: Two E3 ubiquitin ligases, SCF-Skp2 and DDB1-Cul4, target human Cdt1 for proteolysis. EMBO J. 25: 1126-1136 2006.
  2. Nishitani H, Lygerou Z, Nishimoto T: Proteolysis of DNA replication licensing factor Cdt1 in S-phase is performed independently of Geminin through its N-terminal region. J Biol. Chem. 279:30807-30816. 2004
  3. Sugimoto N, Tatsumi Y, Tsurumi T, Matsukage A, Kiyono T, Nishitani H, Fujita M: Cdt1 phosphorylation by cyclin A-dependent kinases negatively regulates its function without affecting geminin binding. J Biol. Chem. 279 : 19691-19697 2004

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