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ユビキチンシステムの個体生物学

写真:千葉智樹

筑波大学
大学院生命環境科学研究科
情報生物科学
教授
千葉 智樹

ユビキチンはタンパク質を翻訳後修飾する分子であり、炎症応答、低酸素応答、酸化ストレス応答、紫外線応答などの応答反応、細胞周期進行や形態形成など様々な生命現象において重要な役割を担っている。ユビキチン化を触媒する酵素は多種多様であり、その中でもCullinファミリータンパク質は、多様な複合体型ユビキチンリガーゼの共通の足場として機能する重要なタンパク質である。我々はCullinファミリータンパク質の新たな構成因子を探索しているほか、Cullin型ユビキチンリガーゼ複合体がどのように活性制御されるか、Cullinを翻訳後修飾するユビキチン様タンパク質NEDD8を中心に機能解析を進めている。現在、NEDD8に結合する新たな因子を探索するとともに、CullinのNEDD8化を制御する新規因子の探索とその機能解析、NEDD8によるCullin機能の活性制御機構を解析している。また、Cullin型ユビキチンリガーゼと分解装置(プロテアソームなど)、そして脱ユビキチン化酵素との機能的相互作用を解明しようとマウス発生工学を用いて解析を進めている。

 

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Ooki Y, Konishi N, Funatsu N, Chiba T. The mechanism of poly-NEDD8 chain formation in vitro. Biochem. Biophys. Res. Commun.2009, 381, 443-447.
  2. Kim M, Nakamoto K, Nishimori S, Tanaka K, Chiba T. A novel ubiquitin ligase involved in p57Kip2 proteolysis regulates osteoblast cell differentiation. EMBO Rep. 2008, 9, 878-884.
  3. Sakata E, et al. Direct interactions between NEDD8 and ubiquitin E2 conjugating enzymes upregulate cullin-based E3 ligase activity. Nat Struct Mol Biol. 2007, 14, 167-168.

ひと言!

ユビキチン代謝の基本的な経路はほぼ解明され、様々な制御因子に対するE3や、疾患関連E3の基質ハンティングが全盛となっている。しかし、ユビキチンの基本代謝もほぼ解明されたと思っていると、意外な落とし穴があって、その制御機構やタンパク質分解との関連など、まだ解っていない部分が多くあるように思う。愚直であろうとも遺伝子改変マウスによる検証を進めることが大事であると思う所以である。多様なユビキチン研究およびタンパク質分解研究に貢献できるよう、分解関連ノックアウトマウス基盤を整備しつつありますので、どうぞよろしくお願い致します。

Web page

http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~tchiba/

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