> サイトマップ

高感度定量プロテオミクスを用いたユビキチンリガーゼ基質探索

写真:松本雅記

九州大学
生体防御医学研究所
プロテオミクス分野
准教授
松本 雅記

あらゆる生命現象は様々なタンパク質の厳密な時空間的発現制御の上に成り立っている。タンパク質の発現量は転写・翻訳による制御に加えて、分解による制御を受けている。特に、ユビキチン介在性のタンパク質分解機構は、さまざまなシグナル伝達因子や細胞周期制御因子などの量的制御を司っており、広範な生命現象への関与が示されている。ゲノム情報の解読により、ユビキチン化の基質特異性を決定する酵素であるユビキチンリガーゼ(E3)が多数存在することが示されたが、これらのE3によっていかなる基質分子がユビキチン化を受けるかという基本的な事象が未解決であり、この疑問を解くことはユビキチン化が如何にして生命現象を制御するかを知る上で極めて本質的である。本研究では、われわれが構築してきた高感度定量プロテオミクス技術を駆使してE3の基質探索の方法論を確立し、さらに本方法にて見出された新規基質を手掛かりにユビキチンリガーゼの生物学的機能を解き明かすことを目指す。本研究の達成によって、個々のユビキチンリガーゼの生物学的機能の理解が深まるだけでなく、ユビキチンリガーゼ以外の様々な翻訳後修飾関連酵素の基質探索にも利用できるユニバーサルな方法論を提示できる可能性が高い。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Matsumoto, M., Oyamada, K., Takahashi, H., Sato, T., Hatakeyama, S., Nakayama, KI. Large-scale proteomic analysis of tyrosine phosphorylation induced by TCR or BCR activation reveals new signaling pathways. Proteomics in press.
  2. Endo, A., Matsumoto, M., Inada, T., Yamamoto, A., Nakayama, KI, Kitamura. N., Komada, M. Nucleolar structure and function are regulated by the deubiquitylating enzyme USP36. J Cell Sci. 122: 678-686 (2009).
  3. Matsumoto, M., Hatakeyama, S., Oyamada, K., Oda, Y., Nishimura, T., Nakayama, K. I.: Large-scale analysis of the human ubiquitin-related proteome. Proteomics 5: 4145-4151 (2005).

ひと言!

プロテオミクスを用いた酵素-基質対応関係の解析以外にも、タンパク質の翻訳後修飾部位(主にユビキチン化やリン酸化)のプロテオーム解析も行っています。今後、領域内での共同研究も積極的に行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

Web page

http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html

▲このページの先頭へ