スパインにおけるタンパク質分解の生物学的意義の解明
広島大学
大学院医歯薬学総合研究科
統合バイオ 教授
内匠 透
スパイン(棘突起)は神経細胞樹状突起上に存在する神経細胞に特徴的な構造物で、シナプス形成の場である。そのダイナミックな形態変化は、シナプス可塑性の構造的基盤と考えられる。また、神経細胞の細胞生物学的特徴の一つとして、樹状突起・スパイン内及び近傍にはポリリボゾームが存在し、局所タンパク質合成が知られており、シナプス可塑性の分子的基盤と考えられる。本研究では、神経細胞におけるユビキチンE3リガーゼUbe3aの標的基質を同定し、神経細胞でのUbe3aの機能を分子、細胞レベルで明らかにすることにより、樹状突起・スパインでの「ユビキチン・プロテアソーム系」の生理的意義を明らかにすることを目的とする。最近、我々は、本Ube3aを含むヒト染色体15q11-13領域の重複モデルマウスの作製に成功した。本マウスは自閉症行動を示し、初のCNV疾患モデルマウスとして確立した。
本研究課題に関連する代表的論文3報
- Nakatani, J., Tamada, K., Hatanaka, F., Inoue, K., Chung, Y.J., Banerjee, R., Ise, S., Ohta, H., Iwamoto, K., Kato, T., Okazawa, M., Yamauchi, K., Tanda, K., Miyakawa, T., Bradley, A. and Takumi, T.: Abnormal behavior in a chromosome-engineered mouse model for human chromosome 15q11-13 duplication seen in autism. Cell in press.
- Yoshimura, A., Fujii, R., Watanabe, Y., Okabe, S., Fukui, K. and Takumi, T.: Myosin-Va facilitates the accumulation of mRNA/protein complex in dendritic spines. Curr. Biol. 16:2345-2351, 2006.
- Fujii, R., Okabe, S., Urushido, T., Inoue, K., Yoshimura, A., Tachibana, T., Nishikawa, T., Hicks, G.G. and Takumi, T.: The RNA binding protein TLS is translocated to dendritic spines by mGluR5 activation and regulates spine morphology. Curr. Biol.15:587-593, 2005.
ひと言!
この4月に研究室を移動しました。新しい研究室で、早く新しい仕事がでてくるよう、班員の方々とも共同研究に発展できればと期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
Web page
http://home.hiroshima-u.ac.jp/anatomy2/index.html
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