PubMedID | 27637015 |
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タイトル | Rubicon inhibits autophagy and accelerates hepatocyte apoptosis and lipid accumulation in nonalcoholic fatty liver disease in mice. |
ジャーナル | Hepatology, 2016 Sep 16; [Epub ahead of print] |
著者 | Tanaka S, Hikita H, Tatsumi T, Sakamori R, Nozaki Y, Sakane S, Shiode Y, Nakabori T, Saito Y, Hiramatsu N, Tabata K, Kawabata T, Hamasaki M, Eguchi H, Nagano H, Yoshimori T, Takehara T |
- Rubicon上昇を介したオートファジーの抑制が脂肪性肝疾患の病態を進展させる
- Posted by 大阪大学大学院 医学系研究科 竹原 徹郎
- 投稿日 2016/11/05
過度の栄養が原因となる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、極めて頻度の高い生活習慣病です。また、一部の症例は非アルコール性脂肪肝炎を経て重症化し、肝硬変、肝がんへと進行するため、病態進展をいかに抑制するかが課題となっています。今回我々は、オートファジーを抑制するタンパク質であるRubiconに注目し、NAFLDの病態進展との関連を検討しました。
脂肪酸を与えたヒト培養肝細胞(HepG2:ヒト肝癌由来細胞)や、高脂肪食(32%脂肪含有、4ヶ月)を与えたマウスの肝細胞では、Rubiconの発現が上昇してオートファジーが抑制されることを見出しました。また、このRubiconの発現を抑制することにより、培養肝細胞でもマウス肝臓でも、肝細胞内の脂肪蓄積量は減少し、肝細胞死も抑制されました。NAFLD患者の肝臓内でもRubiconタンパクの発現が上昇していること確認しました。本研究によって、脂肪性肝疾患は、Rubiconタンパクの発現上昇を介したオートファジー機能の低下により病態が進行することを明らかにしました。
本研究は後天的な環境要因(今回は高脂肪食摂取)によってオートファジーが低下し疾患が発症することを示した初めての例です。本研究成果により、今まで有効な薬物治療が存在しなかったNAFLDに対して、Rubiconを標的として、患者さんの肝内脂肪を減少させ、肝障害を軽減させる治療薬の開発が期待されます。