PubMedID 29237558
タイトル Atg7 activates an autophagy-essential ubiquitin-like protein Atg8 through multi-step recognition.
ジャーナル J Mol Biol, 2017 Dec 10; [Epub ahead of print]
著者 Yamaguchi M, Satoo K, Suzuki H, Fujioka Y, Ohsumi Y, Inagaki F, Noda NN
  • Atg7によるAtg8の多段階認識機構
  • Posted by 公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所 野田 展生
  • 投稿日 2017/12/18

最近受理されました私たちの論文を紹介させていただきます。Atg7はAtg8を活性化するE1酵素で、私たちは以前に異なる相互作用様式を持つ2種類のAtg7-Atg8複合体構造を決定し、機能解析の結果Atg7はまずC末端のフレキシブルな領域で釣りのようにAtg8を引っ掛け、続いて活性部位へとAtg8を転移させて活性化反応を行うという二段階認識モデルを提唱しました(Mol Cell 44, 462, 2011)。今回、新たな結晶型のAtg7-Atg8複合体の構造を決定したところ、前2つの構造どちらとも異なる相互作用を形成しており、変異体実験の結果と合わせて以下の多段階認識モデルを提唱しました。
1) Atg8は自己阻害構造のAtg7の活性部位に結合できないため、まずC末端のフレキシブルな領域に結合する
2) 次にAtg8はAtg7の自己阻害ループに相互作用することでループ内にヘリックス構造を誘起し、それ以外のループ領域の運動性を上げることで自己阻害を解除する(今回決めた構造)
3) 最後にAtg8は開いた活性部位へと結合し、活性化反応を受ける
今回の解析を含めて3種類の複合体構造が明らかになりましたが、実際にはもっと多種類の過度的な相互作用があり、そのうちの主要な3状態がスナップショットとして構造決定できたと思われます。このような複雑な反応を経る意義については、Atg7に高い基質特異性を与えるためではないかと予想しています。