PubMedID 33138913
タイトル Atg43 tethers isolation membranes to mitochondria to promote starvation-induced mitophagy in fission yeast.
ジャーナル Elife, 2020 11 03;
著者 Fukuda T, Ebi Y, Saigusa T, Furukawa K, Yamashita SI, Inoue K, Kobayashi D, Yoshida Y, Kanki T
  • 分裂酵母Atg43はマイトファジーレセプターとして機能する
  • Posted by 新潟大学大学院医歯学総合研究科 福田智行
  • 投稿日 2020/12/01

最近発表した、分裂酵母のマイトファジーに関する論文を紹介いたします。我々は分裂酵母をモデルに、オートファジーの研究を行っています。分裂酵母と、オートファジー研究でよく使われる出芽酵母とは系統的に離れているため、両酵母や高等生物で得られる知見の普遍性と多様性を検証することで、深い理解が得られると期待されます。今回我々は分裂酵母の遺伝子破壊株ライブラリーから、マイトファジーに特異的な欠損を示す株を探索しました。その結果、機能未知遺伝子SPAC14C4.01cの破壊株では飢餓で誘導されるマイトファジーが消失していたため、この遺伝子産物をAtg43と名付けました。

Atg43は飢餓に応じて発現が上昇するミトコンドリアタンパク質で、C末端の膜貫通領域でミトコンドリア外膜にアンカーされ、N末端を細胞質側に配向します。部分欠失体の解析から、全長244アミノ酸のうちマイトファジーに必須なのは、ミトコンドリア局在を担う膜貫通領域と、N末端側にある20アミノ酸の領域のみでした。このN末端領域は、隔離膜・オートファゴソーム膜に局在するAtg8と結合する配列(Atg8-family-interacting motif: AIM)を含みます。実際にAtg43はAIMに依存してAtg8と結合しました。この20アミノ酸あるいはAtg8を強制的にミトコンドリア外膜に局在させると、Atg43の欠損を補えることが分かりました。したがって、Atg43が隔離膜上のAtg8と結合することで、ミトコンドリア上に隔離膜を安定化し、ミトコンドリアが効率よく包まれると考えられます。

Atg43と出芽酵母や哺乳類のマイトファジーレセプターとの間には、AIMと膜貫通領域をもつという類似性はあるものの、配列上の相同性はありません。また、Atg43の類似配列は子囊菌類で広く見られるものの、AIMを含むN末端側は保存されていません。さらに、Atg43はミトコンドリア上でマイトファジーとは別の機能を担うことが示唆されました。以上から、ミトコンドリア外膜で何らかの機能を果たすAtg43が進化の過程でAIMを獲得し、マイトファジーを促進するようになったと考えています。

今後はAtg43を介したマイトファジーの詳細な分子機構を明らかにするとともに、Atg43欠損株の表現型解析から、マイトファジーの生理的意義を検証する予定です。また、分裂酵母はオートファジー研究のモデルとして有用であるため、他の系で得た知見を分裂酵母でも試したい、といったコラボレーションもあればいいなと考えております。