PubMedID | 34774801 |
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タイトル | Phase-separated protein droplets of amyotrophic lateral sclerosis-associated p62/SQSTM1 mutants show reduced inner fluidity. |
ジャーナル | The Journal of biological chemistry 2021 Nov;101405. |
著者 | Faruk MO, Ichimura Y, Kageyama S, Komatsu-Hirota S, El-Gowily AH, Sou YS, Koike M, Noda NN, Komatsu M |
- 筋萎縮性側索硬化症に伴うp62/SQSTM1変異体は、内部流動性が低下した液滴を形成する
- Posted by 順天堂大学医学部生理学第2 一村義信
- 投稿日 2021/11/16
FUS、TDP-43、hnRNPA1などの筋萎縮性側索硬化症(ALS)関連タンパク質は、液―液相分離を示し、それらのALS関連の変異は液滴状の形態から凝集体へ移行することが明らかになってきた(Cell.162:1066-77. 2015 doi:10.1016/j.cell.2015.07.047.)。SQSTM1/p62のミスセンス変異は遺伝子全体で確認されており、ALS、前頭側頭骨変性症(FTD)、骨ページェット病と関連している。SQSTM1/p62タンパク質は、ユビキチン化されたタンパク質との相互作用により液滴を形成し、この液滴がp62のLC3相互作用領域(LIR)とKEAP1相互作用領域(KIR)を介して、p62液滴辺縁部に限局したオートファゴソーム形成や抗酸化ストレス反応のプラットフォームとして機能する(Elife.4:e08941. 2015 doi:10.7554/eLife.08941, Nat Commun.12:16. 2021 doi:10.1038/s41467-020-20185-1)。しかし、ALS/FTDに関連したp62のLIRおよびKIRの変異が、液滴形成を阻害し、オートファジー、ストレス応答、あるいはその両方に障害をもたらすかどうかは、まだ明らかになっていない。
ALS/FTDに関連するLIRおよびKIRのp62変異が、主要な酸化ストレスシステムであるKeap1-Nrf2経路やオートファジーによるp62液滴分解に及ぼす影響を評価するために、それぞれを高感度にモニターできるシステムを開発した。細胞内タンパク質―タンパク質相互作用アッセイ、ドキシサイクリン誘導遺伝子発現システム、リコンビナントアデノウイルスを用いた初代培養細胞への遺伝子発現などの方法により、すべてではないが一部の変異体でNRF2の活性化が低下し、オートファジーカーゴの分解が遅れることが明らかになった。一方、すべてのp62変異体は液滴を形成する能力を十分に発揮したが、これらの液滴はすべて内部の流動性が低下していた。これらの結果から、他のALS関連変異タンパク質と同様に、p62のミスセンス変異は、p62液滴の流動性の質的変化が一次障害となり、病態発症に結びつくことが示唆された。