PubMedID 35274304
タイトル Annexins A1 and A2 are recruited to larger lysosomal injuries independently of ESCRTs to promote repair.
ジャーナル FEBS letters 2022 Mar;.
著者 Yim WW, Yamamoto H, Mizushima N
  • Annexin A1とA2は大きな損傷リソソーム膜へと局在化して修復を促進する
  • Posted by 東京大学大学院医学系研究科 Yim Willa
  • 投稿日 2022/04/23

リソソームが損傷すると、ESCRTタンパク質がカルシウム依存的に損傷リソソーム膜へ局在化することによって修復されます。一方で、もう一つのカルシウム応答性膜修復タンパク質であるアネキシン(annexins; ANXs)も損傷リソソーム膜修復において機能しているかどうかは十分に解明されていませんでした。私たちは、全身の細胞で普遍的に発現するアネキシン(ANXA1, A2, A4, A5, A6, A7, A11)が損傷リソソームに局在し、その中でもANXA1とANXA2のみが修復に重要であることを明らかにしました。ANXA1、ANXA2の損傷リソソームへの局在化はカルシウム依存的、ESCRT非依存的であり、大きく損傷したリソソーム(10 kDaのデキストランが通過できる大きさ)に選択的に局在化することを見出しました。さらに、損傷リソソームからの10 kDaのデキストランの漏出速度を比較すると、ANXA1またはANXA2をノックダウンした場合の方が、ESCRT機構をノックダウンした場合よりデキストランの漏出速度が大きくなりました。これらの結果は、ANXA1およびANXA2が、損傷リソソームからの漏出を最小限に抑えるための新たな修復機構を構成していることを示唆します。

今回、損傷リソソーム膜の修復においてESCRTのみならずAnnexinも関与することを示しましたが、これらのタンパク質が損傷したリソソーム膜を修復する詳細なメカニズムはまだわかっていません。またESCRT非依存的なリソソーム膜の修復機構も最近報告されました(PMID: 32649908, 35388011)。リソソーム膜の修復機構の詳細は今後の研究の発展に期待したいと思います。