PubMedID | 36543799 |
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タイトル | The UFM1 system regulates ER-phagy through the ufmylation of CYB5R3. |
ジャーナル | Nature communications 2022 Dec;13(1):7857. |
著者 | Ishimura R, El-Gowily AH, Noshiro D, Komatsu-Hirota S, Ono Y, Shindo M, Hatta T, Abe M, Uemura T, Lee-Okada HC, Mohamed TM, Yokomizo T, Ueno T, Sakimura K, Natsume T, Sorimachi H, Inada T, Waguri S, Noda NN, Komatsu M |
- UFM1システムはCYB5R3のUFM1化を介してER-phagyを誘導する
- Posted by 順天堂大学医学部 石村 亮輔
- 投稿日 2022/12/24
Nature Communicationsに掲載されました私たちの論文を紹介させていただきます。
私たちはユビキチン様修飾反応系であるUFM1システムを発見、遺伝子改変マウスを用いた解析からUFM1システムが造血や神経発生に重要な役割を担うことを明らかにするとともに、複数の遺伝性小児てんかん性脳症家系の遺伝子解析からUFM1システムの遺伝子変異を同定してきました。UFM1システムの細胞内機能として小胞体ストレス応答や小胞体関連タンパク質分解が考えられてきましたが、最近、小胞体上での翻訳品質管理機構やオートファジーによる小胞体分解(ER-phagy)に重要な役割を果たすことが明らかにされつつあります。しかし、小胞体のホメオスタシスがUFM1システムによって制御される分子機構は、まだほとんどわかっていません。
今回、私たちはUFM1の基質タンパク質として小胞体に局在するNADH-cytochrome b5 reductase 3(CYB5R3)を同定しました。CYB5R3のUFM1化は小胞体に局在するUFM1のE3リガーゼであるUFL1-UFBP1複合体に依存していました。CYB5R3に共有結合したUFM1は、UFBP1のUFM1-interacting motif(UFIM)により認識され、その結果、UFL1-UFBP1複合体のフリーのCYB5R3に対するE3リガーゼ活性が上昇しました。また、小胞体上でCYB5R3がUFM1により修飾されると構造変換が起こりオートファジーにより分解が誘導(CYB5R3のUFM1化によりER-phagyが誘導)される一方、UFM1修飾不能CYB5R3変異体は分解が抑制されることが分かりました。この分解はUFL1-UFBP1複合体の結合パートナーであり、LC3結合能を有するCDK5RAP3が必要でした。最後に、UFM1修飾不能Cyb5r3変異マウスを作製、解析したところ、神経特異的Ufm1欠損マウスと比して穏やかな表現型であるもののこの変異マウスは小頭症を呈しました。
小胞体局在型CYB5R3コードする遺伝子変異は潜性先天性メトヘモグロビン血症Ⅱ型を引き起こすことが知られています。この疾患では、精神遅滞、小頭症、全身性ジストニア、運動障害を特徴としており、UFM1システム関連小児てんかん性脳症の症状と酷似しています。したがって、UFM1システムの遺伝子変異による小児てんかん性脳症や潜性先天性メトヘモグロビン血症Ⅱ型は、オートファジーによる小胞体分解低下に起因する可能性があると考えています。
本研究は北海道大学 野田展生先生、福島県立医科大学 和栗聡先生、産業総合研究所 夏目徹先生、東京都医学総合研究所 反町洋之先生(故人)、小野弥子先生らとの共同研究です。特に反町先生には質量分析を行っていただき、CYB5R3の同定に至りました。基質同定から論文が受理されるまで約6年半(最初の投稿から受理まで2年以上)かかりましたが、その間、共同研究の皆様、小松研究室の皆様には大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。