PubMedID | 23897086 |
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タイトル | Casein kinase 2 is essential for mitophagy. |
ジャーナル | EMBO Rep, 2013 Aug 30;14(9);788-94, |
著者 | Kanki T, Kurihara Y, Jin X, Goda T, Ono Y, Aihara M, Hirota Y, Saigusa T, Aoki Y, Uchiumi T, Kang D |
- Atg32のリン酸化
- Posted by 新潟大学大学院医歯学総合研究科 神吉 智丈
- 投稿日 2013/09/25
私たちが最近報告した論文の紹介を簡単に紹介させていただきます。
出芽酵母でミトコンドリアを選択的に分解するオートファジー(以下mitophagy)には、ミトコンドリア外膜上の膜タンパク質Atg32と細胞質に局在するAtg11との結合が必要です。Atg11は、mitophagy、pexophagy、Cvt pathwayといった選択的オートファジーに共通の因子で、分解すべき積荷を隔離膜形成の場であるPASに誘導(移動)するのに関わっていると考えられています。私たちは、Atg32の114番目のセリン残基のリン酸化がAtg32とAtg11の結合に必須であること、このセリンがリン酸化されなければミトコンドリアは分解されないことを報告してきました。
今回の論文では、Atg32をリン酸化するキナーゼを探索し、Casein Kinase 2 (CK2)であることを細胞レベル、in vitorの実験で明らかにしました。
以前の報告で、MAPKのHog1とその上流のシグナル経路もAtg32のリン酸化に関与していることを明らかにしており、Hog1の下流にCK2があると推測しています。しかしながら、Hog1がどのようにしてCK2によるAtg32のリン酸化に関わっているかは不明のままです。また、CK2は常時活性のあるキナーゼで、核、細胞質に豊富に存在するため、飢餓などの刺激時にAtg32をリン酸化する制御機構も全く明らかに出来ていません。CK2もHog1も様々な生命現象に関わっているキナーゼで、このことが研究を複雑にしているのですが、上記の不明な点も含め、mitophagyの制御機構を少しでも明らかに出来ないかと思案する日々です。