PubMedID | 24089205 |
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タイトル | Autophagy promotes primary ciliogenesis by removing OFD1 from centriolar satellites. |
ジャーナル | Nature, 2013 Oct 10;502(7470);254-7, |
著者 | Tang Z, Lin MG, Stowe TR, Chen S, Zhu M, Stearns T, Franco B, Zhong Q |
- オートファジーによる一次繊毛形成制御
- Posted by 東京大学 医学系研究科 貝塚 剛志
- 投稿日 2013/11/13
当研究室の抄読会で扱った論文をご紹介します。
一次繊毛(primary cilium)は、体の中の多くの細胞が1本だけ持っている非運動性の繊毛であり、Hedgehogなどのシグナル伝達の場として機能している。一次繊毛の形成は血清飢餓により誘導されることがわかっていたが、今回、Zhongらはこの血清飢餓による繊毛形成誘導にオートファジーが重要であることを報告した。
まずLC3結合タンパク質の探索により、繊毛形成に関与する因子OFD1(oral-facial-digital syndrome 1)をオートファジーの新規選択的基質として同定。OFD1は繊毛基底小体の中心子およびその周辺に存在する顆粒構造(centriolar satellites)に局在しており、血清飢餓時にはcentriolar satellitesのOFD1がオートファジー依存的に分解される。オートファジー欠損細胞では血清飢餓時の一次繊毛形成が抑制されているが、これはOFD1のpartialなノックダウンによって(centriolar satellitesのOFD1を取り除くことで)レスキューされる。従って、オートファジーはcentriolar satellitesのOFD1を選択的に分解することで一次繊毛の形成を促進していると考えられる。
論理としては成り立つが、なぜcentriolar satellitesに局在するOFD1が選択的に分解されるのか?centriolar satellitesのOFD1はどのようなメカニズムで繊毛形成を抑制しているのか?など、疑問点も多く残っていると思われた。またNatureの同じ号ではオートファジーが一次繊毛形成に抑制的に作用しうることも報告されている(Pampliega et al, Nature 502:194-200, 2013)。