PubMedID 40885798
タイトル Evidence that mitochondria in macrophages are destroyed by microautophagy.
ジャーナル Nature communications 2025 Aug;16(1):8123.
著者 Lu SL, Chen S, Noda K, Li Y, Tsai CY, Omori H, Kato Y, Zhang Z, Chen B, Tokuda K, Zheng T, Wakita M, Hara E, Fukuda M, Wada Y, Morita E, Uzawa N, Murakami S, Noda T
  • Evidence that mitochondria in macrophages are destroyed by microautophagy
  • Posted by 大阪大学大学院歯学研究科 野田健司
  • 投稿日 2025/09/22

最近公表された論文について報告いたします。

ミトコンドリアを分解するオートファジー、マイトファジーが、特に哺乳類細胞でマクロオートファジーで行われているというこれまでの膨大な研究に加えて、今回私たちはミクロオートファジーが関わってることを報告しました。マウスのマクロファージのリソソーム様オルガネラの解析をしていたところ、たまたま初期エンドソームをそのまま取り込んでいることを見出しました。まさかとおもい、ミトコンドリアも見てみたところやはり取り込んでいました。結局これがマクロオートファジーではなくミクロオートファジーでした。そのメカニズムや、免疫機能の活性化における役割なども解析しております。

裏話的なことを追加させてください。
1 論文タイトルの”Evidence that”という部分は、編集部が最終段階で追加することを求めてきました。最初私たちは違和感を感じて拒絶したのですが、先方も強硬でしたので仕方なく同意しました。後になって、ミトコンドリアがミクロオートファジーで取り込まれるかもしれないという議論が既にあることに気づきましたが、その根拠はあまり確かなものではないのかと今のところ考えています。その意味でこの論文でミクロオートファジーが確かにミトコンドリアを取り込んでいるEvidenceを徹底的に示したというのは、案外良いタイトルだったのかもしれないと考えています。

2 Receivedが6月24日でAcceptedが8月18日です。7月22日にはaccepted in principleの連絡をもらっています。お察しいただけるとおもいますが、別の雑誌で論文本文より長いreview responseを書いた結果の色々納得行かない経緯の果ての顛末です。

ミクロオートファジーの大事な研究が、日本発でこの間、多く発表されています。新学術マルチモードオートファジーの影響が大きいと個人的に感じています。本研究も支えていただき、ここで改めて関係者の皆様に感謝申し上げます。