PubMedID 41134626
タイトル A steady-state pool of calcium-dependent actin is maintained by Homer and controls epithelial mechanosensation.
ジャーナル Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2025 Oct;122(43):e2509784122.
著者 Matsuzawa K, Suzuki M, Cho Y, Fujinaga R, Ikenouchi J
  • Homer–MUPP1 複合体は上皮シートの協調運動を支える力学センサーである
  • Posted by 九州大学 医学部  池ノ内 順一
  • 投稿日 2025/12/05

初めて膜界面フォーラムに投稿させていただきます。九州大学の池ノ内順一です。
私たちの研究室では、上皮細胞の細胞間接着構造やがん細胞の運動に関わるブレブなど、上皮細胞に存在する細胞膜構造の形成機構の解明に取り組んでいます。

上皮組織は、細胞が互いに発揮する収縮力のバランスが巧妙に調整されることで、シートとしての一体性と構造的安定性を保っています。胚発生における形態形成や創傷治癒のように、上皮シートが協調的に変形・移動するためには、隣接細胞から伝わる張力(mechanical tension)を正確に感知し、細胞内応答へと変換する分子機構が不可欠です。

今回ご紹介する論文では、神経細胞のシナプス後部の足場タンパク質として知られていたHomerが、上皮細胞の細胞間接着部位に局在しており、隣接細胞からの張力依存的なカルシウムシグナルの発生に不可欠であることを明らかにしました。細胞間接着部位近傍の細胞質カルシウムイオンの濃度が局所的に上昇すると、細胞間接着を裏打ちするアクトミオシンが収縮が引き起こされることを見出しました。さらに、この機構は、胚発生における神経上皮細胞の湾曲、神経管閉鎖に必須であることが明らかになりました。

所属大学からプレスリリースを出しておりますので、ご興味のある方はご覧いただけますと幸いです。

https://www.med.kyushu-u.ac.jp/research/researclist/detail/1796/