PubMedID 41234204
タイトル ALLO-1a is a ubiquitin-binding adaptor for allophagy in Caenorhabditis elegans.
ジャーナル Journal of cell science 2025 Dec;138(24):.
著者 Norizuki T, Kushida Y, Sekimoto T, Sasaki T, Yamano K, Matsuda N, Sasaki R, Noda NN, Sato K, Sato M
  • ALLO-1aはユビキチン結合型オートファジーアダプターとして機能する
  • Posted by 群馬大学 生体調節研究所 法月 拓也
  • 投稿日 2026/01/08

群馬大学 佐藤美由紀研究室の法月拓也と申します。
本日は、昨年末にJournal of Cell Science誌に出た論文について紹介させていただきます。

私たちの研究室では、線虫C. elegansにおいて、受精後に精子由来のオルガネラが、オートファジーによって選択的に分解されることを明らかにしてきました (Sato and Sato, 2011, Science)。この選択的分解では、卵由来のALLO-1分子がオートファジーアダプターとして機能し、LIRやFIRモチーフを介して、LGG-1 (ATG8ホモログ) やEPG-7 (FIP200ホモログ) を精子由来のオルガネラへ呼び寄せることで、選択的分解を誘導します (Sato et al., 2018, Nat. Cell Biol.)。さらに、ALLO-1には二つのsplicing isoformが存在し、ALLO-1aは精子特異的なpost-Golgi compartmentであるMembranous organelle (MO)に、ALLO-1bは精子由来のミトコンドリアに局在することも明らかにしてきました (Sasaki et al., 2024, Nat. Commun.)。しかしながら、両アイソフォームはC末端の30~50アミノ酸が異なるだけ (全長は約400アミノ酸) であり、どのようにして異なるオルガネラを識別しているのかは不明でした。

そこで、北海道大学の野田展生先生にご協力いただき、X線結晶構造解析やAlphaFold2/3による構造予測を行ないました。その結果、ALLO-1aはユビキチンと結合することが予測される一方、ALLO-1bではC末端の構造がALLO-1aのユビキチン結合サイトを覆い隠すことが予測されました。実際にcell-freeの系で合成したALLO-1aはポリユビキチン鎖と結合したのに対し、ALLO-1bでは結合が見られませんでした。また、予測されたユビキチン結合サイトに変異を導入したところ、ALLO-1aとユビキチンの結合が失われました。さらに、ユビキチンと結合できないALLO-1aを線虫内で発現させたところ、MOへの局在が失われました。MOは受精後に高度にユビキチン化されることから、ALLO-1aはユビキチンを認識するオートファジーアダプターであり、ユビキチン化を介してMOを認識していることが明らかになりました。

線虫にはp62ホモログは存在しますが、NDP52やOPTNなどのユビキチン結合型オートファジーアダプターは保存されていません。一方、ALLO-1はCaenorhabditis属に保存されているものの、それ以外の種では見られません。そのため、ALLO-1はCaenorhabditis属で独自に獲得したユビキチン結合型オートファジーアダプターといえます。ALLO-1は生殖腺以外でも発現しているため、他の組織でもオートファジーアダプターとして機能している可能性が考えられます。

また本研究では、ALLO-1bはユビキチンとの結合が見られなかったため、ALLO-1bがどのように精子由来ミトコンドリアを認識するかは未解明のままです。今後そのメカニズムを明らかにしていきたいと考えております。

最後に、本解析にあたり、北海道大学 野田展生先生・佐々木諒平博士、東京科学大学 松田憲之先生、都医学研 山野晃史先生、群馬大学 佐藤研究室の皆様には多大なるサポートをしていただきました。初期の解析は、佐藤研に以前所属していた櫛田康晴博士が行ないました。また、「マルチモードオートファジー」領域には研究費の支援をしていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。