| PubMedID | 41492009 |
|---|---|
| タイトル | Rapid activation of p62 body-mediated autophagy in human cells under hyperosmotic stress. |
| ジャーナル | Communications biology 2026 Jan;9(1):1. |
| 著者 | Tamura N, Waguri S |
- Rapid activation of p62 body-mediated autophagy in human cells under hyperosmotic stress.
- Posted by 福島県立医科大学 医学部 田村 直輝
- 投稿日 2026/01/09
先日、Communications Biology誌に掲載された我々の研究を紹介いたします。
細胞が高張液に曝されると、水が細胞外へ流出することで細胞内成分の濃度が急激に上昇し、「高浸透圧ストレス」が発生します。近年の研究により、哺乳類細胞はこのストレスに応答して細胞内に様々な種類の非膜性オルガネラ(membraneless organelle:MLO,あるいはbiomolecular condensates)を形成し、恒常性を維持していることが明らかになってきました。MLOは神経変性疾患をはじめとする様々な疾患に関与することが示唆されていますが、その詳細な性状については未だ不明な点が多く残されています。
本研究では、オートファジーレセプターであるSQSTM1/p62が、高浸透圧ストレスに反応して液-液相分離を起こし、細胞質においてMLO(p62 body)を速やかに(数分以内)形成すること、そしてそれらがオートファジー経路によって分解されることを見出しました。高浸透圧ストレス下でp62がオートファジーにより分解される現象は、既に我々を含めた数グループが報告していましたが、今回の論文では「MLO形成を介する」オートファジー分解であることを証明したことになります。また、高浸透圧ストレス下では、核内においてもproteasome fociと呼ばれる別のMLOが形成され、プロテアソームによるタンパク質分解に寄与することが知られています。本研究の結果、proteasome fociがK48型ユビキチン鎖を分解するのに対し、p62 bodyはK63型ユビキチン鎖の分解に関与することが判明しました。これにより、細胞が高浸透圧ストレス下において、核内と細胞質で分解機構および分解基質を巧みに使い分けている実態が明らかになりました。さらに我々はCLEM(correlative light and electron microscopy)を用いてp62 bodyとストレス顆粒の形態的相違も明らかにしていて、この点もレビューアーに評価されたようです。
今後は、高浸透圧ストレス下の細胞質で形成される他のMLO(ストレス顆粒やP-bodyなど)と、p62 bodyとの関連性に注目して研究を進める予定です。