PubMedID 41514062
タイトル The mechanistic basis and cellular functions of UFMylation.
ジャーナル Nature reviews. Molecular cell biology 2026 Jan;.
著者 Komatsu M, Noda NN, Inada T
  • UFM化の作用機序と細胞機能
  • Posted by 順天堂大学大学院医学研究科 小松 雅明
  • 投稿日 2026/01/11

Nature Reviews Molecular Cell Biologyに掲載された総説を紹介します。本総説は、北海道大学の野田展生先生、東京大学の稲田利文先生との共著によるものです。
ユビキチン様翻訳後修飾は、タンパク質の機能や運命を制御する基本的な分子機構の一つである。UFM1(ubiquitin-fold modifier 1)は、こうしたユビキチン様修飾因子の中でも比較的新しく同定された分子であり、主として小胞体(ER)機能と翻訳品質管理の制御に特化した修飾系として注目されている。
UFM1は、2004年に著者らによって同定され、解析されてきたユビキチン様翻訳後修飾因子であり、E1(UBA5)、E2(UFC1)、E3(UFL1-UFBP1-CDK5RAP複合体)からなる極めて簡潔かつ特異的な酵素カスケードを介して基質タンパク質に共有結合する。発見当初から、UFM1欠損マウスが胚性致死や重篤な臓器障害を呈すること、またUBA5、UFC1、UFM1などの変異がヒトの重度神経発達障害や骨系統疾患の原因となることが示され、UFMylationは生理学的に必須の修飾系として位置づけられてきた。
その後、2019年にRon Kopitoらにより、UFMylationがERに結合したリボソームの品質管理機構(ER-associated ribosome quality control; ER-RQC)と密接に関与することが報告され、UFM1の主要基質が60SリボソームサブユニットのRPL26(uL24)であることが明確になった。この発見により、UFMylationは単なるERストレス応答因子ではなく、翻訳異常そのものを感知・制御する品質管理機構の中核として再定義された。
さらに2023〜2025年にかけて、AlphaFold3予測とcryo-EM構造解析が飛躍的に進展し、UFM1 E3リガーゼ複合体(UFL1–UFBP1–CDK5RAP3)がER膜上で60Sリボソームに結合し、RPL26のUFMylationを介してSEC61トランスロコンからの解離、ならびにRQC因子(NEMF、LTN1)との協調的作動を実現する分子機構が原子レベルで解明された。これらの構造学的知見により、RPL26のUFM1化がER-RQCを駆動する決定的イベントであることが急速に明らかとなり、UFMylation研究は記述的段階から機構論的理解の段階へと大きく進展した。
本総説は、こうした歴史的展開を踏まえ、UFMylationの分子機構、ER-RQCおよびER-phagyにおける役割、さらにヒト疾患との関連を統合的に概説している。一方で、ER外機能としてDNA損傷応答(MRE11、ヒストンH4)、抗ウイルス応答(RIG-I–MAVS)、免疫チェックポイント制御(PD-1/PD-L1)、酸化還元恒常性(P4HB、SLC7A11)などへの関与も報告されている。しかし、UFM1 E3リガーゼ複合体が主としてER膜に局在すること、ならびにUFMylation基質の同定には厳密な生化学的検証が求められることを踏まえると、これらが直接的なUFM1修飾基質なのか、あるいはER機能破綻に伴う二次的ストレス応答の反映なのかについては、慎重な解釈と再検証が必要である。
なお本総説は、Reviewer 1からの厳しい査読を踏まえ、既報研究を尊重しつつも、非典型的UFM1基質に関する解釈や機構的主張については、内因性条件下での検証を含む科学的厳密性を重視して整理したものである。若手研究者には、論文化された結果を鵜呑みにせず、再現性と検証可能性を常に意識する姿勢の重要性を伝えたい。