PubMedID | 24451648 |
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タイトル | PARK2/Parkin-mediated mitochondrial clearance contributes to proteasome activation during slow-twitch muscle atrophy via NFE2L1 nuclear translocation. |
ジャーナル | Autophagy, 2014 Jan 21;10(4); [Epub ahead of print] |
著者 | Furuya N, Ikeda SI, Sato S, Soma S, Ezaki J, Trejo JA, Takeda-Ezaki M, Fujimura T, Arikawa-Hirasawa E, Tada N, Komatsu M, Tanaka K, Kominami E, Hattori N, Ueno T |
- 遅筋萎縮におけるParkin介在性マイトファジーとプロテアソーム活性化
- Posted by 順天堂大学大学院医学研究科 古屋徳彦
- 投稿日 2014/01/27
最近受理された私達の論文をご紹介させていただきます。
骨格筋は運動負荷などのメカニカルストレスもしくは神経支配から脱することにより萎縮します。筋萎縮の進行には細胞内タンパク質分解系の活性化が関わっています。マウスの座骨神経切除(除神経)モデルにおける筋萎縮を解析したところ、ミトコンドリアに富んだ遅筋(ヒラメ筋)の萎縮にミトコンドリア品質管理機構であるParkin介在性マイトファジーが関わっていることを見出しました。Parkin介在性マイトファジーを起こせない骨格筋特異的Atg7 KOマウスおよびParkin KOマウス(以下KOマウス)の除神経ヒラメ筋では、筋萎縮の遅延、異常ミトコンドリアの蓄積に伴う呼吸鎖複合体活性の低下、活性酸素種の蓄積が認められました。さらにこれらのKOマウスの除神経ヒラメ筋では、ポリユビキチン化タンパク質の蓄積が認められました。野生型マウスヒラメ筋では除神経によりプロテアソームサブユニットの発現およびプロテアソーム活性の亢進が見られますが、KOマウスのヒラメ筋では同様なプロテアソームの活性化が有意に低いことが分かりました。これまでにプロテアソームサブユニットの発現には転写因子NFE2L1 (Nrf1)が関わっていることが報告されています。野生型マウスヒラメ筋では除神経によってNFE2L1の核移行が亢進するのに対し、KOマウスヒラメ筋ではNFE2L1の核移行は見られないことから、NFE2L1を介したde novoプロテアソーム発現がKOマウスヒラメ筋において障害されていることが分かりました。さらに培養細胞を用いた実験により、異常ミトコンドリアが産生する活性酸素種がNFE2L1の核移行を抑制することが分かりました。以上のことから、遅筋の除神経萎縮過程において、NFE2L1を介したプロテアソーム活性化とParkin介在性マイトファジーによるミトコンドリア品質管理が密接に関わっていることが明らかになりました。ミトコンドリア含量が低い速筋の萎縮では、Parkin介在性マイトファジーもNFE2L1も重要な働きをしていないことから、今回我々の見つけた機構はミトコンドリアに富んだ組織で機能しているのではないかと想定しています。