PubMedID 24394643
タイトル Expression of the autophagy substrate SQSTM1/p62 is restored during prolonged starvation depending on transcriptional upregulation and autophagy-derived amino acids.
ジャーナル Autophagy, 2014 Jan 3;10(3); [Epub ahead of print]
著者 Sahani MH, Itakura E, Mizushima N
  • p62は長期飢餓で増える場合がある
  • Posted by 東大・医 水島昇
  • 投稿日 2014/03/26

当教室の大学院生Mayur Sahani君の論文を紹介させていただきます。p62/SQSTM1は最もよく知られているオートファジーの基質の一つであるため、オートファジーによる分解の指標として広く使用されています。たしかに、p62はアミノ酸飢餓の初期にはオートファジーにより分解され、その存在量が減少します。しかし、今回私たちは、4時間以上の長期飢餓に晒すとp62のタンパク質量が通常レベルにまで回復することを見いだしました。これは少なくてもマウス胎児線維芽細胞とHepG2細胞では観察されます(が、HeLaやHEK293細胞では回復しませんでした)。この長期飢餓によるp62の回復は、p62 の転写発現誘導と、オートファジーによって産生されるアミノ酸に依存することがわかりました。本研究は、p62の発現レベルとオートファジー活性とは常に逆相関を示すとは限らないことを示しました。また、私たちの知る限り、オートファジーによって産生されるアミノ酸が飢餓時のタンパク質合成に必要であることを哺乳類培養細胞で示唆した初めての報告にもなるのではないかと考えています。

1
  • p62の回復は私たちの実験系でも観察されました。
  • 国立国際医療研究センター研究所  小路早苗  2014/03/31

内在性p62タンパク質の量の回復は、私たちの実験系でも見られました。
オートファジー誘導刺激としては、beclin 1由来のペプチド(Tat-beclin 1)を用いました。高濃度で短時間処理した時、p62タンパク質は減少します。一方、低濃度でover night処理した時は、未処理細胞やコントロールペプチドを処理した細胞に比べp62のタンパク質量は少し増加していました。この現象は、Raw細胞株、primary pDCで観察され、THP-1細胞株では見られませんでした。

2
  • mRNA定量が重要
  • 東大・医  水島昇  2014/03/31

コメントありがとうございました。
p62をオートファジー活性の指標として用いるのは注意が必要と言うことになります。p62の転写はかなり変動しますので、mRNAを同時に定量することが重要です。特に、「p62増加→オートファジー低下」とするのは危険があり、p62の転写誘導を見ている場合が多くあると思います。
(さきほどコメントしたらうまくいかなかったようなので、もう一度。もしダブった場合は申し訳ありません)