PubMedID 24719330
タイトル Dennd3 Functions as a Guanine Nucleotide Exchange Factor for Small GTPase Rab12 in Mouse Embryonic Fibroblasts.
ジャーナル J Biol Chem, 2014 Apr 9; [Epub ahead of print]
著者 Matsui T, Noguchi K, Fukuda M
  • Rab-GEFと栄養シグナル
  • Posted by 東大・医 分子生物学 松井 貴英
  • 投稿日 2014/04/28

 最近掲載されました私の以前の所属研究室(東北大学大学院 生命科学研究科 膜輸送機構解析分野 福田光則研究室)での成果を紹介させて頂きます。
 これまで我々は、低分子量G蛋白質Rab12がアミノ酸トランスポーターPAT4のリソソームへの輸送と分解をコントロールすることで、細胞内アミノ酸量、mTORC1の活性レベル、そしてオートファジーの効率をネガティブに調節していることを明らかにしています(Matsui and Fukuda EMBO Rep. 2013)。
しかしながら、Rab12自身の活性状態がどのように制御されているのか、その時空間的制御基盤はほとんどわかっていませんでした。今回我々は、in vitroにおいてRab12に対するGEF活性を持つことが知られているDennd3のMEF細胞における機能解析を行いました。その結果、in vivoにおいてもDennd3は実際にRab12-GEFとして機能し、細胞内のアミノ酸量やmTORC1の活性レベルの制御に関与することを明らかにしました。
 さらに興味深い事に、我々はDennd3がAktの活性レベルのポジティブな制御(Dennd3のノックダウンによりAktのリン酸化レベルが減少する)にも関与していることを見出しました。Rab12自身はAktの活性制御には関与していないことから、Dennd3は①Rab12の活性化を介したアミノ酸-mTORC1経路の制御と②Akt-mTORC1経路の制御という二つの機能を持つ分子と考えられます。
 最近の研究から、組織によってアミノ酸-mTORC1経路とインスリン-Akt-mTORC1経路の寄与度が異なることがわかっています(Naito et al. JBC 2013)。しかし組織ごとにどちらのシグナル経路を優先させるのか、その制御メカニズムはほとんどわかっていません。もし、Dennd3が組織ごとに発現量や活性能を変えることでそのメカニズムに関与していたらおもしろいなと妄想しています。