PubMedID | 25036706 |
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タイトル | Human IAPP-induced pancreatic β cell toxicity and its regulation by autophagy. |
ジャーナル | J Clin Invest, 2014 Aug 1;124(8);3634-44, |
著者 | Shigihara N, Fukunaka A, ..., Fujitani Y, Watada H |
- オートファジーは膵β細胞のアミロイド毒性除去にはたらく
- Posted by 順天堂大学大学院医学研究科 綿田裕孝
- 投稿日 2014/08/05
最近受理されました私たちの論文を紹介させていただきます。ヒトの2型糖尿病の膵島には以前からアミロイドが沈着し、これが膵β細胞機能不全と関与することが想定されていましたが、その機序の詳細は明らかではありませんでした。これまで、2型糖尿病膵島ではオートファジー不全を示唆するような所見があり、さらに、膵β細胞のオートファジーが膵β細胞の機能維持に必須であることから、この膵島アミロイド構成タンパクであるIslet Amyloid Polypeptide(IAPP)がオートファジーの重要な基質候補と考えました。しかし、ヒトIAPPのげっ歯類オルソログはoligomer形成や、アミロイド沈着しないことが知られていたため、今回、我々はマウスIAPPの遺伝子座にヒトIAPPをノックインしたマウスと膵β細胞特異的Atg7ノックアウトマウスを掛け合わせたマウスを作製し、ヒトIAPPとオートファジー不全との関連を検討しました。その結果、ヒトIAPPノックインマウスの耐糖能には何の異常もありません。しかし、膵β細胞特異的Atg7ノックアウトマウスを掛け合わせ,高脂肪食にすると、マウスIAPPに同様の負荷をかけたマウスに比し、耐糖能が悪化するとともに、膵β細胞アポトーシスの増加、膵β細胞容積低下が認められました。
この際、膵β細胞のp62陽性封入体の形成不全も認められました。このことからヒトIAPPの毒性除去に膵β細胞のオートファジーが必須であることが明らかになりました。本論文はback to back to backで掲載されましたが、他の2つの論文が膵β細胞に過剰量のヒトIAPPが発現しているマウスを用いているのに対し、私たちのモデルは比較的生理的はヒトIAPPを発現しているマウスを用いたものでした。今後は、この詳細なメカニズムの解明を目指したいと思います。