PubMedID | 25744623 |
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タイトル | High frequency of beta-propeller protein-associated neurodegeneration (BPAN) among patients with intellectual disability and young-onset parkinsonism. |
ジャーナル | Neurobiol Aging, 2015 Jan 30; [Epub ahead of print] |
著者 | Nishioka K, Oyama G, Yoshino H, Li Y, Matsushima T, Takeuchi C, Mochizuki Y, Mori-Yoshimura M, Murata M, Yamasita C, Nakamura N, Konishi Y, Ohi K, Ichikawa K, Terada T, Obi T, Funayama M, Saiki S, Hattori N |
- NBIAにおけるBPAN(SENDA)の頻度をWDR45遺伝子変異にて検討
- Posted by 順天堂大学大学院医学研究科 斉木臣二
- 投稿日 2015/03/13
当グループからの臨床遺伝学的な報告をもう一報させて頂きます。
NBIA(Neurodegeneration with brain iron accumulation)は現在までに6つの責任遺伝子が同定された、パーキンソン症状を共通特徴とする症候群で、その一型とされるSENDA(Static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in adulthood)、別病名BPAN (beta-propeller protein-associated neurodegeneration)の責任遺伝子がWDR45(WIPI4をコードする)であることが2013年にMizushimaらのグループにより報告されています(Nat Genet 2013)。本研究ではまずSENDA(BPAN)に類似した臨床症状・経過を呈する28例(男性10例、女性18例。精神発達遅滞(以下MR)を伴い、20-30歳代でパーキンソン症状を発症)についてNBIA既知責任遺伝子(PANK2、PLA2G6、C19orf12、COASY、FA2H、RAB39B)およびWDR45の変異スクリーニングを行ったところ、7例(全例女性、陽性率25%)の患者にWDR45に病因ヘテロ変異(既知変異:2 新規変異:4)を認めましたが他遺伝子には変異を認めませんでした。さらに明らかな家族歴が無く精神発達遅滞を伴わない若年性パーキンソン病と診断された患者群98名および正常コントロール群110名ではWDR45遺伝子変異を認めませんでした。
以上の結果は、我が国ではMRを伴う若年発症パーキンソン症状を呈する患者群(特に女性)では高率にWDR45変異を認めること、若年性パーキンソン病(40歳未満で発症した場合の一般的総称)では一般的で無いことを示しており、若年性パーキンソン病症例では頭部MRIで鉄沈着を認めないことが多い点とも合わせ、興味深い結果と考えられます。今後、疾患iPS細胞由来神経細胞を用いた検討を進めていく予定です。