PubMedID 26902585
タイトル Differing susceptibility to autophagic degradation of two LC3-binding proteins: SQSTM1/p62 and TBC1D25/OATL1.
ジャーナル Autophagy, 2016 Feb;12(2);312-26,
著者 Hirano S, Uemura T, Annoh H, Fujita N, Waguri S, Itoh T, Fukuda M
  • オートファジーの選択的基質タンパク質に必要な条件とは?
  • Posted by 東北大学生命科学研究科 藤田尚信
  • 投稿日 2016/04/12

先日、Autophagyにアクセプトされた私たちの論文を紹介させて頂きます。私たちは以前、Rab33Bの不活性化因子であるOATL1/TBC1D25が、LC3との結合を介してオートファゴソーム上に局在し、オートファゴソームとリソソームの融合過程を制御することを報告しました(JCB. 2011, PMID;21383079). SQSTM1/p62などのオートファジーのカーゴタンパク質は、保存されたLC3結合モチーフ(LRS)を持ち、LC3との結合を介してオートファゴソーム内に取り込まれ、分解されることが知られています。一方、OATL1はLRSを持つものの、オートファジーによる分解を受けませんでした。そこで、今回の論文では、OATL1とp62をモデルに、LRSタンパク質がオートファゴソームに取り込まれる分子機構について検討しました。一連のOATL1とp62のキメラコンストラクトを用いた解析から、オートファゴソーム内への取り込みには、LC3との結合に加えて、カーゴタンパク質のオリゴマー化が重要であることが分りました。さらに、可逆的に制御可能なオリゴマー化ドメインを用いた実験から、LC3との結合能とオリゴマー化能の2つがオートファジーのカーゴになる必要十分な条件であることを示しました。また、免疫電顕法により、オリゴマー化能を持たないコンストラクトは、オートファゴソームの外膜上に選択的に局在することが明らかになりました。ただし、オリゴマー化されたLRSタンパク質がオートファジーの機構により認識される分子機構や、オリゴマー化の有無によりオートファゴソーム膜上で非対称的な局在が生じる分子機構など重要な課題が残されています。今回確立したシステムを用いて、今後これらの解明に取り組んで行きたいと考えています。