計画研究
A01-5 膜透過型オートファジーの制御機構
研究代表者株田 智弘(Tomohiro Kabuta) |
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研究課題の概要と計画
膜透過型オートファジーでは、輸送体を介して細胞質の基質が直接的にリソソーム内に取り込まれ分解される。近年、研究代表者は核酸を基質とする膜透過型オートファジー、RDA (RNautophagy and DNautophagy)を発見した。RDAでは、ATP依存的にRNA・DNAが直接リソソーム内に取り込まれ、内部で分解される。また、リソソーム膜における核酸透過に重要な分子SIDT2 (核酸輸送体SID-1の哺乳類オルソログ)を同定することに成功し、リソソーム膜の生体高分子透過において具体的な手かがりを得た。さらに、「ATP依存的にタンパク質が直接リソソーム内に取り込まれ、内部で分解される」という新たな現象を見いだし、RDAとあわせてDUMP (direct-uptake-via/through-membrane-protein)と我々は呼んでいる (bioRxiv. 2021)。現在のところ、基質のリソソーム膜透過機構が不明であるなど、解決するべき課題が複数残されている。本計画研究では、リソソーム膜を直接透過する経路について、(1) 透過に関する輸送装置の同定と機能・構造的解析、(2) エネルギー基盤や細胞内シグナルなど膜透過の分子機構・制御機構の解明、(3) 細胞内基質の同定やDUMPとマクロオートファジーとの関係性・使い分けの解明などの生理的役割の解析を行う。
生物種/実験系:マウス、哺乳類細胞、無細胞系
経路:膜透過型オートファジー
分解基質:RNA、DNA、タンパク質
研究代表者主要業績
Hase K, Fujiwara Y, Kikuchi H, Aizawa S, Hakuno F, Takahashi S, Wada K, *Kabuta T. RNautophagy/DNautophagy possesses selectivity for RNA/DNA substrates. Nucleic Acids Res., 2015, 43(13):6439-49.
Aizawa S, Fujiwara Y, Contu VR, Hase K, Takahashi M, Kikuchi H, Kabuta C, Wada K, *Kabuta T. Lysosomal putative RNA transporter SIDT2 mediates direct uptake of RNA by lysosomes. Autophagy, 2016, 12(3):565-578.
Hase K, Contu VR, Kabuta C, Sakai R, Takahashi M, Kataoka N, Hakuno F, Takahashi SI, Fujiwara Y, Wada K, *Kabuta T. Cytosolic domain of SIDT2 carries an arginine-rich motif that binds to RNA/DNA and is important for the direct transport of nucleic acids into lysosomes. Autophagy. 2020, 16(11):1974-1988.
キーワード
Lysosome, RNautophagy, DNautophagy, Transporter, Nucleic acids, DUMP, SIDT2