オートファジーの集学的研究:分子基盤から疾患まで(Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states)

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)
平成25年度~平成29年度

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オートファジーの膜動態:分子機構と疾患との関わり

代表者 吉森 保(大阪大学・生命機能研究科・教授)

吉森 保

オートファジーの実体は極めて特異な細胞内膜動態であり、膜創成など未解明の謎が多い。我々は、これまで哺乳類オートファジーの膜動態の分子基盤解明を推進してきたが(EMBOJ 2000, Nat Cell Biol 2009など)、最近小胞体とミトコンドリアの接触部位がオートファゴソーム形成の場であることを突き止めた(Nature 2013)。本研究課題では、この異なるオルガネラ間協働による膜創生の全容解明を目指す。また我々は、オートファジーの生理的意義の解明においても、病原体や変性疾患を起こす易凝集性タンパク質の選択的排除という重要な発見を行っている(Science 2004など)。これらと損傷ミトコンドリアの排除を併せた選択的オートファジーは、生体防御・恒常性維持に働くため注目を集めているが、そのメカニズムはほとんど判っていない。そこで本研究課題では、標的認識など選択的オートファジーの膜動態の分子機構を明らかにする。さらに我々は、がん細胞のサバイバルと感染症を中心にオートファジーの膜動態と病態との関わりの解明を進める。また既に開発済みのアッセイ系を駆使しオートファジーの膜動態を制御する化合物の探索と解析を行い、日本発の創薬を視野に入れた研究を展開する。

関連論文

  • Hamasaki M, Furuta N, Matsuda A, Nezu A, Yamamoto A, Fujita N, Oomori H, Noda T, Haraguchi T, Hiraoka Y, *Amano A, *Yoshimori T. Autophagosomes form at ER−mitochondria contact sites. Nature 495: 389-393 (2013)
  • Matsunaga K, Saitoh T, Tabata K, Omori H, Satoh T, Kurotori N, Maejima I, Shirahama-Noda K, Ichimura I, Isobe T, Akira S, Noda T, *Yoshimori T. Two Beclin-1 binding proteins, Atg14L and Rubicon, reciprocally regulate autophagy at different stages. Nat Cell Biol 11: 385-396 (2009).
  • *Nakagawa I, Amano A, Mizushima N, Yamamoto A, Yamaguchi H, Kamimoto T, Nara A, Funao J, Nakata M, Tsuda K, Hamada S, *Yoshimori T. Autophagy defenses cells against invading group A Streptococcus. Science 306: 1037-1040 (2004).
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