領域代表からの挨拶
「オートファジー」という言葉が公の会議で使用されたのは1963年のことで、それはリソソームの発見者であるChristian de Duveによると言われています。そしてその50周年にあたる本年、de Duveは95歳で亡くなりました。このような節目となる年にオートファジーの新学術領域が誕生したことになります。
オートファジーの研究はこの10数年の間に大きく進展しました。大隅良典教授(本領域総括班外部連携研究者・東工大教授)の酵母を用いた先駆的研究に始まり、日本はそのなかでも中心的役割を果たしてきました。しかし、オートファジーにはさまざまな側面や研究アプローチがあるためか、オートファジーはその他多くの研究領域の一部として扱われることがほとんどでした。これまでは、主に「タンパク質分解」、「メンブレントラフィック」、「神経科学」、「構造生物学」などの領域でバラバラに活動していたことになります。しかし、これでは新しいフェーズのオートファジー研究を推進するのは困難です。そこで、今回オートファジーに特化した初のグループ型プロジェクトを設置することとなりました。是非、関連研究者の皆さまにはこの新学術領域「オートファジー」に結集していただき、大いに情報交換や議論ができたらと思っております。WEBベースの討論サイト「オートファジーフォーラム」の開催、オートファジーデータベースとの連携、オートファジープロトコールの公開もしますので、本領域外の研究者の皆さまも是非ご活用下さい。
5年間の研究が実りあるものとなりますよう、皆さまのご支援をいただきたくよろしくお願い申し上げます。
東京大学・医学系研究科・教授・水島 昇