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ユビキチン系の個体生物学

写真:千葉智樹
千葉 智樹
筑波大学・大学院生命環境科学研究科・教授

 

細胞内のタンパク質は代謝回転しており,そのタンパク質合成と分解の速度はそれぞれ個別に制御されています.個々のタンパク質について分解を制御しているのがユビキチン・プロテアソームシステムです.ユビキチンはタンパク質を修飾する76アミノ酸のタンパク質であり,主にプロテアソーム依存性のタンパク質分解シグナルとして機能します.

ユビキチンシステムによる選択的タンパク質分解は細胞の増殖・分化・運動・死・環境応答など様々な細胞機能の制御に必須であり,また多細胞生物の生体高次機能(概日リズム,記憶,免疫,形態形成など)にも重要です.そしてユビキチン代謝異常が様々な難治性疾患を引き起こすことも知られています.

そこで本研究では,ユビキチンの多彩な生理機能を解明する目的で,ユビキチン代謝に関わる様々な制御因子の遺伝子改変マウスを作製し,その個体解析をします.これらの「ユビキチンシステムの個体生物学」研究は,ユビキチン代謝異常によって生ずる様々な難治性疾患の病態解明や治療薬開発に貢献することが期待されます.

また本研究は以下の課題について,その分子機序解明を目指します.

タンパク質がユビキチン化されてから分解されるに至るまでには様々な段階があります.例えば「E3酵素と基質の結合」,「E3酵素の活性化」,ユビキチン化基質の「脱ユビキチン化制御」や「ユビキチン識別タンパク質との相互作用」,そして「プロテアソームへの輸送」などです.これらの素過程はそれぞれ制御されているとともに連携していると考えられます.本研究は遺伝子改変動物研究を通じて,上記の「E3酵素の活性化」から「ユビキチン識別タンパク質との相互作用」にいたる過程を中心に,その素過程と連携の制御機構解明を目指します.

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